"閉店写真館の11通" 第5話
なぜ児玉というのフィルムに娘の運会が写っているのか分からなかった。
全部で36枚あった。
運会の写真は最初の15枚ほどだった。
自分の子どもらしい男の子をに撮しているが、同じ学だった真理も何枚か背景に入っている。12歳の真理は今よりずっと細く、髪を肩のところでつに結び、写真ので笑っていた。
佐子は、そののことを覚えていた。
運会にはかなかった。
正確には、朝だけ学へき、会式と最初の競技を撮したあとへ戻った。町内会から頼まれた結婚式の張撮が午に入っており、父も腰を悪くしていたため、を空けられなかった。
真理は最の学運会だった。
「午のリレーだけでも見て」
の夜、娘から言われた。
佐子は「仕事がく終わったらね」と答えた。
終わらなかった。
帰宅したのは午7を過ぎていた。
真理はすでに夕をべ終え、テレビを見ていた。
「何位だった?」
佐子が尋ねると、「らない」と答えた。
自分がったのにらないはずがない。
当の佐子は、反抗期なのだとった。
夫の修が撮った写真もあったので、から見ればいいともった。
その来事が、娘のにどれほど残っているのかは聞いたことがなかった。
翌、佐子は児玉孝を探した。
所のはまだあった。
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話帳には載っていなかったため、をくことにした。
、児玉本から話が来た。
「写真館からが来たから、何事かといましたよ」
児玉は67歳だった。
写真を確認してもらうと、やはり自分の物だった。
「あの運会のフィルム、なくしたとってたなあ」
「当、取りに来られなかったようで」
「転勤ですよ」
運会の翌、会社から突然転勤を命じられ、族で仙台へ引っ越したという。荷造りや続きに追われ、写真のことを忘れたまま20以経ったらしい。
児玉は週末にへ来た。
写真を見ながら、自分の息子が今は36歳で児の父親になっていることを話した。
「これ息子に送ったらるかな。遅かったから」
楽しそうに笑っていた。
佐子は真理の写っている写真を指した。
「この子、私の娘なんです」
「え?」
児玉は写真と佐子を交互に見た。
「同級ですか」
「たぶん。同じ学だったみたいで」
児玉はしばらく写真を眺めたあと、「じゃあ、これコピーします?」と聞いた。
佐子は瞬迷った。
客の写真である。
もちろん許をもらえばプリントできる。
「いいんですか?」
「うちの息子だけの写真じゃないでしょう」
その言葉で、佐子は5枚だけ焼き増しした。
夜、真理へ話した。
「今度来る、見せたいものがある」
「何?」
「運会の写真」
話の向こうでがあった。
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「何の?」
「学最の」
真理はしばらく黙った。
「今さら?」
声が変わった。
佐子は説しようとした。
偶然、昔の客の写真に真理が写っていたこと。
自分でも驚いたこと。
懐かしいとったこと。
しかし娘は途で言った。
「お母さん、あのいなかったよね」
「朝はいたでしょう」
「午のリレー」
「仕事だったから」
「ってる」
真理の声は静かだった。
鳴られた方が楽だったかもしれない。
「その写真見て、何するの?」
「別に何するって」
「お母さんが見られなかった私を、今写真で見たいってこと?」
佐子は答えられなかった。
「だったら勝に見ればいいよ。私はいらない」
話は切れなかった。
真理は向こうにいる。
佐子も受話器を持ったまま黙っていた。
「真理」
「何?」
「まだってるの?」
言った瞬、失敗したとった。
真理はさく笑った。
「お母さんって、そういう言い方するよね」
「どういう?」
「昔のことを覚えてると、ってることになる」
佐子は何も言えなかった。
「別にずっとってないよ。でも寂しかったことは、るのやめたら消えるわけじゃないでしょう」
通話が終わったあと、佐子は暗いので座っていた。
真理の12歳の写真が机にある。
笑っている。
写真だけ見れば、楽しい運会だ。
子の言葉をいした。
写真って、嘘じゃないけど、本当全部でもない。
写真のの真理は笑っている。
けれど、そのの娘が母親を待っていたことは写っていない。
佐子は初めて、写真の側にあるものをく考えた。
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