"閉店写真館の11通" 第9話
邪魔だとった古い板が、町から消えれば懐かしくなる。
幼い子どもを撮ったつもりの写真に、くなった祖母のだけが写っていて、そのを見て泣くもいる。
写真は、未来のが何を探すからないまま、今を残している。
その夜、佐子は閉ので、最の3通を机に置いた。
持ち主は見つからなかった。
はなくなる。
保管し続けることはできない。
以なら、見つかるまで置いておきたいとったかもしれない。
しかし期限をなくしてしまえば、物はただ積みがる。
父が11通を残した理由は、最まで分からなかった。
もしかすると特別な理由などなかったのかもしれない。
捨てようとって引きしへ入れ、そのまま忘れただけかもしれない。
父を美しい物語のにする必もない。
佐子は通をもう度見た。
京都。
赤ん坊。
祭り。
らないたち。
名のない。
「ごめんなさいね」
さく言った。
誰に謝ったのか、自分でも分からなかった。
翌、規則通りに処分することにした。
全部が戻る物語にはならない。
そのことを、今の佐子は受け入れられた。
630の朝、瀬写真館はいつも通り9にいた。
違うのは、今が最だということだけだった。
佐子はシャッターをげ、内の照をつけた。壁の計、レジ、撮のい背景、カウンターの傷。
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何も見てきたものを、つずつ確認した。
午から客が途切れなかった。
「最だから」と証写真を撮る必もないのに撮りに来たまでいた。
は本当に昼から泣いていた。
「まだ閉まってないでしょう」
佐子が言うと、
「閉まるとったら泣けるのよ」
と言いながら、の客へコロッケを配っていた。
午2、真理が来た。
きな袋をつ持っている。
「何それ」
「あとで」
娘は受付の横に座り、客の対応を伝った。
子どもの頃と同じ所だった。
佐子はそれに気づいたが、にはさなかった。
午5を過ぎるとが減った。
最の証写真は、所のだった。
アルバイトの履歴に使うという。
「笑わない方がいいですか」
が聞いた。
「しくらいならいいよ」
佐子は答えた。
父なら「証写真は歯を見せるな」と言っただろう。
今は代も違う。
がしだけ角をげた瞬にシャッターを切った。
それが瀬写真館で佐子が撮った最の正式な写真になった。
午6。
入の札を《CLOSED》に変えた。
には真理と、それから数の商仲が残っていた。
「じゃあ、最にので写真撮ろう」
誰かが言った。
佐子は反射に、
「私が撮るよ」
と言った。
真理がすぐに止めた。
「今はお母さん入るの」
「誰が撮るのよ」
「これ」
袋から脚をした。
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「買ったの?」
「会社に余ってたやつ借りた」
真理は佐子のカメラを脚へ取り付け、タイマーを設定した。
皆がのに並ぶ。
。
百の夫婦。
クリーニングの主。
児玉まで、なぜかまだいた。
真理が佐子の腕を引いた。
「ここ」
「端でいいよ」
「真ん」
「主だから?」
「違う」
真理はし笑った。
「いつも撮る側だったから」
その言葉で、佐子はけなくなった。
写真館のにまれたは、議と自分の写真がない。
父もそうだった。
佐子もそうだった。
族の事でも、誰かがカメラを持たなければならない。
撮るは、写真のへる。
タイマーのランプが点滅した。
「く!」
真理が引っ張る。
佐子は娘の隣へった。
肩が触れた。
昔なら「もっと笑って」と誰かに言っただろう。
自分が撮られる側になると、どういう顔をしていいのか分からない。
「お母さん、普通でいいよ」
真理がさく言った。
「普通って何よ」
「らない」
で笑った。
その瞬、シャッターが切れた。
枚目。
が目を閉じていた。
撮り直した。
枚目。
児玉が横を向いた。
もう度。
枚目。
完璧ではなかった。
誰かの腕がしへて、真理の髪がで顔にかかり、佐子もきく笑っているわけではない。
それでも撮り直さなかった。
のへ戻り、佐子は最にプリントした。
写真が械からてくる。
いのに、今の自分たちが現れる。
が言った。
「私、太って見える」
「実際太ってるから」
佐子が答えると、
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