"閉店写真館の11通" 第12話
桜はまだ咲いていない。
曜に咲くかも分からない。
かもしれない。
が喧嘩するかもしれない。
写真を枚も撮らずに帰るかもしれない。
それでもいいとった。
《持っていく。でもたまには真理が撮って》
送信した。
数秒、
《解》
と返ってきた。
佐子はバッグを肩へかけ、図館をた。
の夕方はまだし寒かった。
駅へ向かう途、族連れがを歩いていた。
父親がさな子どもの写真を撮ろうとしている。
子どもはカメラを見ず、端の犬ばかり見ていた。
母親が笑っている。
父親も笑う。
結局、子どもは度もカメラを見なかった。
それでも父親は写真を確認し、満そうにスマートフォンをしまった。
佐子もし笑った。
完璧な写真ではない。
だから残しておきたいもある。
写真にならないの方が、にはずっとい。
誰かを待った。
にわなかった。
言えなかった言葉。
許せなかったこと。
それでも隣を歩いた夜。
そういうものは写真のに残る。
そしてきている限り、その側には次の枚を撮るがまだある。
佐子は駅でを止めた。
夕が商のガラスへ反射している。
昔なら、こういうを見ればすぐカメラを構えた。
今は撮らなかった。
しばらく自分の目で見た。
それから歩きした。
曜になれば、また娘に会う。
そのに写真を撮るかどうかは、まだ決めていなかった。
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