"新郎が消えた結婚式" 第4話
「ああ」
照れくさそうに笑った航太を見て、私は自分のことのように嬉しくなった。
ずっと私のために自分のを使ってきた兄。
今度こそ、航太自が幸せになる番だとった。
「どんななの?」
私はを乗りした。
航太はし恥ずかしそうにしながらも、どこか嬉しそうだった。
「同じ会社の。恵理子っていうんだ」
「へえ」
「すごく優秀でさ。キャリアウーマンって、たぶんああいうのこと言うんだとう」
名学を卒業し、会社でもな仕事を任されている。
仕事がく、判断力もある。
航太の話を聞いているだけでも、かなり優秀な女性なのだろうと分かった。
「よかったね、お兄ちゃん」
「まだ結婚決まったわけじゃないぞ」
「でも考えてるんでしょ?」
「まあ……」
航太は照れたように線を逸らした。
私は笑った。
「ずっと私のために頑張ってくれてたんだから、今度はお兄ちゃんが幸せになる番だよ」
「智のためだけじゃないって」
「でも、いっぱい助けてもらった」
「何の話してるんだよ」
航太は苦笑した。
それでも私にとっては、何経っても忘れられない。
両親がいなくなった。
「俺が何とかする」と言ってくれたこと。
眠るを削って働いてくれたこと。
を辞めると言った私を責めなかったこと。
今の私が普通に活できているのは、兄のおかげだ。
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だから兄の結婚をから祝いたかった。
それからもなく、航太は恵理子さんを紹介してくれた。
初めて会った恵理子さんは、兄の話から像していた通りの女性だった。
細で姿勢がよく、ち居振るいに無駄がない。装もきちんとしていて、ひと目見ただけで仕事のできるという印象を受けた。
顔ちもっていた。
航太も見栄えのする方だったから、並んでいる2を見て素直にお似いだとった。
「初めまして。妹の智です」
「初めまして、恵理子です」
恵理子さんはにこやかに笑った。
「聞いていた通り、すごくいのね」
「え、そんなことないですよ」
「本当よ」
最初の会話は穏やかだった。
私はした。
こんな素敵ながお姉さんになるのか。
そううと、し嬉しかった。
ところが事の途、航太が席をっただった。
恵理子さんが急に私へ尋ねた。
「ねえ、智さんって学はどちらなの?」
瞬、どう答えるか迷った。
けれど隠すようなことでもない。
「あ、私、学にはってないんです」
「そうなの?」
「も途で辞めてしまって。ちょうどその頃、のことが変だったので……お兄ちゃんから聞いてませんか?」
「ああ」
恵理子さんは納得したように頷いた。
「そうだったわね。まあ、庭環境に仕方ないのかもね」
胸のに、ほんのさな違が残った。
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言っていること自体は違っていない。
庭が変だった。
それは事実だ。
それでも、言葉の端に何か引っかかるものがあった。
恵理子さんは続けた。
「智さんと航太って、血はつながってないのよね?」
「はい。親同士が再婚したので」
「実のお父さんは?」
「私が赤ん坊の頃に婚したそうなので、何もらないです」
「あら。じゃあ、お母様1で育てるの変だったでしょうね」
「まあ……そうですね」
どう答えればいいのか分からなかった。
母1で育ててもらったという覚は、私にはあまりなかった。
「両親の再婚って嫌じゃなかった?」
「嫌でしたよ」
私はし笑った。
「でも母は恋が好きなだったので、止めても無駄でした」
すると恵理子さんは、驚いたように目を丸くした。
「そんな庭で育って、よくグレなかったわね」
笑いながら言われ、私は曖昧に笑い返した。
「まあ……」
「でも丈夫よ」
「え?」
恵理子さんは優しく諭すような調になった。
「育ちが悪くても、これから覚えればいいんだから。智さんが恥ずかしいいをしないように、私がいろいろ教えてあげる」
笑顔だった。
けれど、言っている内容はあまりにも失礼だった。
育ちが悪い。
恥ずかしいいをしないように教えてあげる。
初めて会ったに、面と向かって言う言葉だろうか。
私は何も返せなかった。
ちょうどその、航太が戻ってきた。
「何の話?」
「女同士の話よ」
恵理子さんが笑う。
私は無理に元をげた。
「そうそう。ちょっとお話してただけ」
それで会話は終わった。
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