"新郎が消えた結婚式" 第9話
恵理子さんの友たちも帰っていった。
先ほど見した女性はへ向かう、私のところへ来た。
「嫌なこと言われましたね」
「いえ……」
「気にしないでください」
さく笑った。
「庭って、自分で選べないですから」
その言葉が胸に残った。
やがて広い会は、急速に静かになった。
さっきまでで埋まっていた席が空いていく。
祝福のために用された空に、取り残されたような静けさが広がった。
最には、恵理子さんと両親、それに対応する式スタッフだけが残った。
私はその景を見て、複雑な気持ちになった。
こんな結末を望んでいたわけではない。
恵理子さんを幸にしたかったわけでもない。
ただ兄を祝いたくて来ただけだった。
航太が隣で言った。
「こう、智」
「うん」
私たちは式をた。
兄はまだタキシード姿だった。
私も結婚式用に選んだを着たまま。
へると、式のにいたより急に疲れをじた。
し歩いたところに公園があった。
兄と私はベンチへ座った。
しばらく、どちらも話さなかった。
今、このなら、本当なら兄は式を挙げていたはずだ。
隣には嫁がいて。
招待客に祝福されていたはずだった。
それを考えると胸が痛くなった。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「本当にごめんね」
「またそれか」
「だって、事な結婚式だったのに」
「智のせいじゃない」
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「私が黙って帰ってれば――」
「駄目だ」
兄はきっぱり言った。
「それで式挙げても、俺はずっと悔してたとう」
「でも……」
「あんなと結婚しなくてよかった」
航太はし疲れた顔で笑った。
「式が始まったじゃなくて、に分かってよかったくらいだ」
私は俯いた。
「智を傷つけると、緒に暮らせるわけないだろ」
兄が続ける。
「おは俺にとって、何より事な族なんだから」
とうとう涙が溢れた。
式ではしていた。
恵理子さんのでも。
勢の招待客のでも。
でも、その言葉を聞いたらできなかった。
「お兄ちゃん……ありがとう」
「泣くなって」
航太は昔と同じように、私のを軽く撫でた。
「今は結婚式のじゃなくなったけどさ」
苦笑する。
「俺たちにとって、しいスタートのだったってことにしよう」
私は涙を拭きながら頷いた。
その、兄がし迷うように言った。
「実はさ」
「何?」
「俺、からちょっと気づいてたんだ」
「何に?」
「恵理子が智に対して、したいっていうか……よそよそしいがあるなって」
私は驚いた。
「気づいてたの?」
「ああ」
航太は申し訳なさそうに目を伏せた。
「でも智、何も言わなかっただろ」
「言えなかった」
「俺の結婚に差したくなかった?」
図だった。
「……うん」
兄はさく息を吐いた。
「やっぱりな」
「せっかくお兄ちゃんが幸せになろうとしてたから」
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「それで智がしてたらないよ」
「でも――」
「俺も悪かった」
「そんなことない」
「ある」
兄は首を横に振った。
「智が丈夫って言うから、それ以聞かなかった。もっとちゃんと話してればよかった」
「お兄ちゃんはずっと私を守ってくれたよ」
「今回は守れてなかった」
「今守ってくれたじゃん」
私がそう言うと、航太はしだけ笑った。
「もう2度と、智にあんないはさせたくないな」
その横顔を見ながら、私は改めてった。
本当に、このが兄でよかった。
血がつながっていなくても。
親が私たちを捨てても。
航太だけは、ずっと私の族だった。
結婚式が止になった、私は恵理子さんと直接会うことはなかった。
兄も婚約を解消し、そののやり取りは必なことだけにしたという。
それで終わる話だとっていた。
けれど、あのの来事は予以にくのへられることになった。
結婚式には、航太と恵理子さんの会社の同僚も何も招待されていた。
当然、式が突然止になった理由をっている。
それでも最初から誰かが面半分に言いふらしたわけではなかったらしい。
ただ会社へ戻れば、
「結婚式どうだった?」
と聞かれる。
郎婦は同じ会社にいた。
婚約していたこともられている。
それなのに結婚も名字が変わらず、2は別々に働いている。
隠し続けられるはずもなかった。
しずつ事が広まった。
「あの、相の妹さんにそんなこと言ったらしいよ」
「卒だから式に来るなって?」
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