"最後の定期券" 第2話
父が、自分のでてった。
もしそうなら。
なぜ何も言わなかったのか。
なぜ母にも。
なぜ自分にも。
由紀は父と仲だったわけではない。
父は優しいだった。
鳴ることもなかった。
族のために真面目に働いていた。
けれど。
何を考えているのか分からないでもあった。
嬉しいも。
苦しいも。
しいも。
父はいつも同じ表をしていた。
「丈夫だ」
そう言って、全部で抱えるだった。
そのの夜。
実の台所で、由紀は母へ尋ねた。
「お父さん、何か隠してたの?」
美佐子はすぐには答えなかった。
窓のを見る。
の夜。
灯のない田舎には、もうはなかった。
しばらくして、美佐子は古い箪笥の引きしをけた。
からてきたのは、枚の古い切符だった。
は黄ばんでいた。
駅名を見る。
由紀は眉をひそめた。
「青葉川駅……?」
聞いたことのない名だった。
「昔あった駅よ」
美佐子が答えた。
「30になくなった」
切符の裏には、い鉛の文字が残っていた。
由紀はそれを見た瞬、息を止めた。
見覚えのある字だった。
父の字。
そこにはい言葉だけがかれていた。
「必ず迎えにく」
「お母さん……これ何?」
美佐子はしばらく黙っていた。
そして、静かに言った。
「その駅で……昔、の女の子がいなくなったの」
由紀は顔をげた。
「女の子?」
「お父さんが駅員だった頃の話」
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美佐子の指が震えていた。
「あなたのお父さんは、その子をずっと探していた」
部の空気が変わった。
由紀は初めてった。
父には。
族がらない30があることを。
そして。
父が最に向かった所は。
30に消えたさな駅なのかもしれなかった。
翌朝、由紀は父の部をもう度調べることにした。
の夜は、警察への連絡や母との話でがいっぱいになり、落ち着いて父の持ち物を見る余裕がなかった。けれど、朝になって静になると、どうしても気になることがあった。
父は何かを探していた。
それなら、必ず何か痕跡を残しているはずだった。
田夫というは、几帳面な性格だった。仕事で使った刻表や勤務表も捨てずに保管していたし、の説まで代順にファイルしていた。必なものとなものをきちんと分け、何もの領収さえ「で必になるかもしれない」と言って残していた。
そんな父が、何か切なことを隠すなら。
完全に消すことはできない。
由紀はそうった。
父の机の引きしをける。
には、退職に使っていた帳、古い万、駅員代にもらった記品が並んでいた。どれも見慣れたものだった。
しかし、番の引きしの奥に、さな茶の封筒が挟まっているのを見つけた。
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「こんなところに……」
封筒には何もかれていなかった。
をける。
てきたのは、枚の古い写真だった。
写真には、若い頃の父が写っていた。
まだ40歳にもなっていない頃だろう。駅員の制を着た夫が、さな女の子の隣にっている。
女は10歳に見えた。
髪は肩まで伸び、し緊張したような表をしている。
がっている所は、見覚えのない駅のホームだった。
古い造の待。
さな駅名標。
そして、その横には「青葉川駅」とかれていた。
由紀は写真を持ったまま、しばらくけなかった。
父が若い頃。
この女と何があったのか。
なぜ30も写真を持ち続けていたのか。
写真の裏を見る。
そこには、母が見せてくれた切符と同じ父の字があった。
ただ、切符とは違う文章だった。
「優子ちゃんへ」
その名を見た瞬、由紀は眉を寄せた。
優子。
誰なのか。
父には妹もいなかった。
親戚にも、その名の女性はいない。
写真の横には、さらにさなが挟まっていた。
そこには所らしきものがかれていた。
しかし、30の所だった。
現どうなっているかは分からない。
由紀はすぐにスマートフォンで検索した。
だが、青葉川駅という名は現の図にはしなかった。
廃線になった線。
閉鎖された駅。
そして、30に姿を消した女。
点だった報が、しずつ線になり始めていた。
「お母さん」
朝の準備をしていた美佐子に、由紀は写真を見せた。
母のが止まった。
包丁を持ったまま、写真を見る。
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