"トウモロコシ畑に消えた母" 第10話
娘もまた、母親を守れなかった女性として誤解され続けていたでしょう。科学鑑定を続けた研究員、古い資料を守り抜いた田元刑事、最に真実を語った鈴、そして事件を忘れなかったたち。そのひとりの執がつながったからこそ、15閉ざされていた真実はようやくのへ引き戻されたのです。
の記憶はとともにれていきます。事件の聞記事も、やがて古い資料のへ埋もれ、当をる々もなくなっていくでしょう。しかし、真実をらかにしようとした々のいまで消えるわけではありません。たとえさな破片つであっても、誰かがそれを捨てずに残し、誰かがもう度調べようとを伸ばせば、い沈黙を破る証拠になることがあります。
夕暮れがづくと、畑面にいが伸びました。松田刑事は子を取り、芳子さんが倒れていた所へ静かにをげました。が吹くたびにトウモロコシの葉が触れい、乾いた音が畑の奥まで広がっていきました。その音はもう、事件の恐ろしさを伝えるものではありませんでした。芳子さんが懸命にきた々と、最まで真実を諦めなかった々の歩みを、静かに語り継いでいるように聞こえました。
松田刑事は再び顔をげると、畑のへ向かってゆっくり歩き始めました。
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彼の机のには、今も解決を待っているしい事件のファイルがあります。どれほどが流れても、証拠がわずかしか残されていなくても、そこで諦めれば真実は本当にへ沈んでしまいます。だからこそ松田刑事は、芳子さんの事件で得た教訓を胸に、また次の扉をこうとしていました。
その背では、黄に実ったトウモロコシが夕に照らされていました。15に犯が消しったはずの真実は、完全に失われてはいませんでした。のに残されたさな痕跡と、々の胸に残り続けた違が、最には偽りの仮面を打ち砕いたのです。どれほど巧妙な嘘をねても、誰かが覚えている限り、真実が永に葬られることはありません。
芳子さんと娘が失ったは、もう取り戻すことができません。それでも、の無が忘れられず、その名誉が守られたことにはきながありました。野のあいを吹き抜ける穏やかなの、トウモロコシの葉は静かに揺れ続けていました。それはまるで、い苦しみからようやく解放された母と娘が、い所からを見守っているかのようでした。
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