"手書きの時刻表" 第5話
田も、それを否定しなかった。
「そうだ。残せない列もある」
田は改正案を畳んだ。
「だから、なくすなと叫ぶだけでは駄目なんだ。列がなくなった、そのたちがどうやって帰るかまで考えなければならん」
田は町役、学、を訪ねた。
部活の終刻を調できないか。の送迎を駅経由にできないか。診療所の職員同士で乗りわせができないか。
駅員の仕事を越えていると、はった。
しかし最終列の廃止を止められないのなら、別の方法で活への響を減らすしかない。
町役との協議の結果、改正は午9に央駅をる乗自が、週3だけ川方面へ運されることになった。利用者は事登録が必だったが、学や従業員の帰宅段は確保された。
は、田のノートへしい欄が加わったことに気づいた。
そこには列ではなく、乗自の刻がかれていた。
「鉄の刻表なのに、までくんですか?」
「ここを使うがへ帰るための表だからな」
ダイヤ改正の、午914分の最終列には、普段よりくの乗客が乗っていた。
廃止を惜しみ、最に乗ろうと集まった町の々だった。川由紀も部活の仲と緒に乗り、ホームへりると何度も両を振り返った。
列の最尾に赤い灯りがともる。
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田はホームへち、姿が見えなくなるまで敬礼を続けた。
「寂しいですか?」
隣にったが尋ねた。
「寂しいさ」
田は素直に答えた。
「だが、列はいのためだけにるものではない。乗るの暮らしが変われば、鉄も変わる」
「では、なぜあれほど残そうとしたんです?」
「変わるに、置いていかれるがいないか確かめたかったんだ」
田は駅舎へ戻り、古い刻をノートから消した。
消しゴムで何度も擦った跡が残った。
その横へ、しい乗自の刻と利用者の名をき加える。
は、その元を黙って見つめた。
田は過へしがみついているのではない。
変化そのものを拒んでいるわけでもなかった。しい仕組みので見えなくなるを、最まで見落とさないようにしていたのだ。
11の終わり、川の々はくもく染まり始めた。
にとって、部で迎える初めてのだった。京で見たとは違い、川では晩で膝まで積もり、も線も景から消える。
田はから、除用具と非常を点検した。
駅舎の倉庫にはスコップ、炭、毛布、蝋燭、乾パンが保管されている。話線が切れたに備え、隣の民と連絡する方法も決めてあった。
「今は支局から連絡が来ますよ。昔ほど駅だけで備える必はないでしょう」
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が言うと、田は窓枠の隙へ布を詰めながら答えた。
「連絡が来るまで、客は寒さを待ってくれん」
12最初のの、田フミが駅へ来た。
68歳のフミは臓の持病があり、毎第2曜に隣の病院へ通っている。田のノートには、通院だけでなく、診察予約のと本線での乗り換え候補もかれていた。
「田さん、来から検査のが変わったよ」
フミは診察券を差しした。
「1は第3曜、午10半だとさ」
田は刻表を確認したが、すぐにはき込まなかった。
「そのは、本線で事がある。いつもの列だと乗り換えににわないかもしれん」
支局へ話し、事の臨刻を確認する。さらに病院へ連絡し、予約を30分遅らせられないかフミの代わりに尋ねた。
「そこまでしてもらって悪いねえ」
「駅で迷う方が変でしょう」
は、そのやり取りを業務誌へ記入した。
田の個なノートだけでなく、誰が勤務していても対応できるようにするためだ。
「随分、細かくくようになったな」
田が覗き込んだ。
「田さんが休みのでも分かるようにしているんです」
「わしのやり方を古いと言っていたのに」
「今も、全部をきする必はないとっています」
は率直に答えた。
「でも、印刷された刻表だけではりないことも分かりました。
だから、必な部分だけ引き継げる形にしたいんです」
田はしばらく黙って誌を見ていた。