"席次表から消された姉" 第4話
そう言って、翔太は私を切病院にづけさせなかった。 それどころか、その期の翔太はいつも「父の病で忙しい」「母の精神なケアをしなければならない」と言って、週末のデートもほとんどキャンセルになり、連絡も途絶えがちになっていた。 私はそれを、名の男としての責に耐えているのだと信じ込み、健気にも彼を刺激しないようくから見守っていたのだ。
そして――。 奇妙な記憶が、パズルのピースのようにので噛みった。
の。 まさに同じ期、目のにいる姉・綾の様子もらかにおかしかった。
実のようなこの部にち寄るたび、姉は目に見えて痩せ細っていき、肌は荒れ、目のには黒い隈が張り付いていた。 「最、施設でシフトの穴埋めがくて夜勤が続いてるの」と笑っていたけれど、休みのに訪ねても部におらず、夜に話をかけても繋がらないことが何度もあった。 あの、私は「無理しないでね」と栄養ドリンクを差し入れることくらいしかできなかった。
あのつの来事が、本の線で繋がる……?
嫌な汗が、背筋を伝い落ちていくのが分かった。
「お姉ちゃん、まさか……」
喉がカラカラに渇いて、うまく声がない。 綾さんは、めかけたほうじ茶を含むと、静かに爆弾を落とした。
「翔太さんはあなたに言ったかしら? お父様が入院していたあのヶ、毎晩、夜の病で誰が付き添っていたか」
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「……え?」
「麻痺でけなくなって、毎晩のように失禁して、せん妄状態で暴れるお父様の体を誰が支えていたか。汚れたシーツを取り替えて、便にまみれた体を清拭して、夜けまでを握っていたのが、体誰だったのか」
綾さんの声には、りも怨嗟も含まれていなかった。 ただ淡々と、酷な事実だけを積みげていくような響きがあった。
「翔太さんは……言ってたよ。お母さんとで、交代で付き添って病したって……」
「嘘よ」
綾さんは即座に、ややかに言い切った。
「あのたち、度だって夜の病に残ったことなんてないわ。夕方には『臭いに耐えられない』『疲れるから』って言って、さっさと世田の自宅に帰っていたもの」
私の呼吸が止まった。 目のがチカチカと滅する。
「じゃあ……誰が……」
「私よ」
綾さんは、自分の胸にを当てた。
「私の勤める施設の夜勤けや、公休、そして勤が終わったの夜。毎晩にあの病院にって、朝のまで、私がお父様のの世話をしていたの。ヶ、ほぼ毎晩ね」
「な……なんで……?」
言葉が、を成さなかった。 どうして? なぜ姉が? 鈴と私の姉は、当はまだ顔わせすらしていなかったはずだ。翔太と私の交際をっているだけの、赤ののはずだった。 それなのに、なぜ姉が、の父親の、それも度の介護を、夜に無償で引き受けることになったのか。
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「お姉ちゃん、どうしてそんなことを……! 翔太たちに頼まれたの!? 脅されたの!?」
私の鳴のような問いに、綾さんはしげな目を向けた。
「頼まれたんじゃないわよ、美奈。『取引』を持ちかけられたの」
「取引……?」
「そう。『美奈さんを鈴の嫁として正式に認めてあげてもいい』ってね」
を鈍器で殴られたような衝撃だった。
「冴子さんと翔太さんがね、の、突然私の職に押しかけてきたのよ。どこで調べたのか、私が介護福祉士をしていることをっていてね。お父様が倒れて入院したけれど、付き添いの費用がすぎる、病院の護師は融通が利かない、内の恥をに晒したくない……そう言って泣きついてきた」
綾さんの唇の端が、微かに歪んだ。それは嘲笑のようでもあり、い悔のようでもあった。
「冴子さんは私のを取って言ったわ。『美奈さんは素敵な方だけど、うちのような柄にお迎えするには、しばかり釣りいが取れませんの。でも、お姉様ががに尽くしてくださるなら、族の絆として美奈さんを歓迎いたします』って」
「そんな……っ!」
「翔太さんも隣で頷いていたわ。『美奈のためだとって、力を貸してください。僕たちの結婚を応援してくれるなら、これくらい当然ですよね』って」
血の気が引いていく。 あの、翔太が私に見せていた優しい笑顔。
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