"顔合わせのすっぽかしと五通の裏切り" 第18話
だから俺は、おがどんな男を連れてきても、最初から無条件で信用することなどできなかったんだ」
父の言葉に、私は胸を突かれた。 私自も最初は弘を警戒していたはずだった。それなのに、し優しくされ、甘い言葉を囁かれただけで、あっさりと警戒を解き、浮かれて父に写真や画を見せて自していたのだ。 えばあの、父は決してんでいる様子はなく、険しい目つきで画面のの弘を凝していた。
「それに俺はな、経営者として、本性を巧みに隠して相の懐に入り込み、甘い汁を吸い尽くそうとするペテン師を、ビジネスの現で何も見てきたんだよ」 父は厳格な経営者の顔になって言った。 「徹底に裏を取ってみなければ、切なおを任せることなど到底できなかった。……ましてや、顔わせの取りが決まった途端に態度が豹変したと聞いて、いよいよキナ臭いと確信したんだ」
直と、経験の差。 を信じることの尊さをりながらも、悪を見抜く徹な力を持っていた父のが、私を破滅の淵から救いしてくれたのだ。
私は父のいを噛み締めながら、し悪な質問をねてみた。
「ねえ、お父さん。もし、興信所が調査した結果、弘が浮気も借もしていなくて、本当に真っで誠実な男だったとしたら……結婚を認めてくれてた?」
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私の問いかけに、父は瞬虚を突かれたように目を丸くし、それからひどく困ったように眉をげて苦笑いした。
「……いや。それでも、簡単には認めなかっただろうな」
「えっ、どうして?」
「俺が結婚を認めるのはな、ただ誠実であること以に――どんな困難があっても、おを涯かけて命がけで守り抜く覚悟がある男だと、俺自が納得できただけだ」
頑固親父そのものの台に、私はわず吹きしてしまった。
「ふふっ、お父さんにしてもらえるような相を見つけるのは、相当ハードルがそうね。頑張らなくちゃ」
すると、父は急に居悪そうに線を逸らし、ポリポリと頬を掻きながら、ボソボソと呟いた。
「……別に、無理して結婚相なんて探さなくてもいいんだぞ」
「え?」
「今のままで、うちにいればいいじゃないか。仕事だって頑張ってるんだし、自由はないだろう」
照れくさそうにを尖らせる父の横顔を見て、私はピンと閃いた。 私はを乗りし、悪戯っぽく笑いながら父の顔を覗き込んだ。
「……お父さん。ひょっとして、私が結婚してをてったら、寂しいんでしょ?」
「だ、誰が寂しいものか!! バカなことを言うんじゃない!!」
顔を真っ赤にしてムキになって言い返す父の姿に、私は声をげて笑いしてしまった。 釣られるようにして、台所で夕の支度をしていた母もクスクスと笑い声をげる。
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あの息の詰まるような裏切りと絶望の々を乗り越え、悪縁を完全に断ち切ることができたからこそ、今、こうして族でから笑いえる温かい常を取り戻すことができたのだ。
この先、私のに、からしされるような素らしい男性との良縁があるかどうかは、誰にも分からない。 けれど――結婚することだけが、女性のの唯の幸せではないはずだ。
私をからし、守ってくれる族がいる。 やりがいを持って打ち込める仕事がある。 そして何より、理尽な悪に屈することなく、自分ので凛としてつさを、私はこの経験を通じてに入れることができた。
私にとっての「本当の幸せの形」は、誰かに与えてもらうものではなく、自分自ので紡ぎしていくものなのだ。 を切に、誠実に、自分をしてきていこう――夕暮れの柔らかなに包まれたリビングで、私は静かに、力い決を胸に刻み込んでいた。
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