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"離婚11日後、私に9億8000万円が当たった" 第5話

母は話にで、こちらを振り返っていない。

修平は越しにを伸ばした。

彼は私のを取った。

そして、たくてい何かを、私ののひらに素く握らせた。

私は驚いて元を見た。

それは本の古びた鍵と、さな切れだった。

私が目を丸くして彼を見げた。

修平はほとんど唇をかさずに囁いた。

「親父の

私にしか聞こえない、消え入りそうな声だった。

「先空いた。鍵、俺が持ってた。今夜はそこけ」

弟の言葉に、私は息を呑んだ。

切れには、きで所が記されている。

母がで話している声が聞こえた。

「達也さん、ないわね」

母が振り返る気配をじた。

修平は素く私かられた。

まるで何もなかったかのような、無関な顔を作っている。

私はの鍵をく握りしめた。

母に向かってはっきりと告げた。

「もういいわ。帰る」

母が怪訝そうに眉を寄せた。

「どこに帰るって言うのよ」

私は瞬だけ修平を見つめた。

それから母を見た。

「私たちが帰れる所に」

私は向のを引いた。

迷うことなく、へ戻った。

向は泣いていなかった。

9歳の子供に気を遣わせていることが、私の胸をさらに痛めつけた。

エンジンをかけた。

を発させる。

バックミラーに映る母を見た。

母は最までの鎖をそうとはしなかった。

その姿がどんどんさくなり、やがて見えなくなった。

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私が向かったのは、実のある町かられた駅の裏だった。

修平からもらった所を頼りに、古いむ。

やがて、目の建物が見えてきた。

青い根の古びた平だった。

取りは2LDK程度だ。

の鉄柵には所々錆が浮いている。

私はを止めた。

向と緒にった。

弟がくれた古い鍵を鍵穴に差し込む。

ゆっくりと回す。

カチャリという音がした。

い扉がゆっくりといた。

向がそうに私を見げた。

「ここ?」

私は優しくうなずいた。

「うん。そうよ」

に入ると、んでいなかったのか、し埃っぽかった。

それでも、荷物はすっかり片付いており、空きになっていた。

台所へ向かった。

をひねると、勢いよくた。

壁のスイッチを押した。

古い蛍灯がチカチカと点滅したに点いた。

修平が言った通り、活の最限のインフラはきていた。

このは、くなった父が若い頃にに入れたものだ。

賃貸にしていただった。

父の、私はこののことをほとんど気に留めていなかった。

相続の際、私にも持ち分があることになった。

しかし、実際の管理は弟が引き受けていた。

母はずっと貸しているから、そのままでいいと言っていた。

私は自分の庭のことで忙しかった。

の資産管理を、弟に任せきりにしていた。

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んでいた賃借が退したらしい。

母はすぐにしい貸し先を探すと言っていたはずだ。

だが、弟は続きを保留していた。

それには理由があった。

押し入れをけた。

古いダンボール箱が1つだけ残されていた。

には父が使っていた万や、褪せた写真が入っていた。

向がそれを見つけた。

さなで写真をつまみげた。

「おじいちゃん」

私は写真のの父の笑顔を見つめた。

「うん。そうだよ」

胸がくなるのをじた。

向が議そうに部を見回した。

「ママ、ここ誰のおなの?」

私はしの、考えるように沈黙した。

父は、修平にある言葉を残していたという。

「みかが困った、帰れる所を1つだけ残しておいてやってくれ」

母の古い価値観から私を守るため、父は密かに準備をしてくれていたのだ。

そして弟は、その約束を忘れずに鍵を持ち続けていた。

私の目に、じわりと涙が浮かんだ。

しみの涙ではなく、救われた堵の涙だった。

私は向のさな肩を抱いた。

の真んに座り直した。

「ここはね、ママのおだよ」

向はパッと顔を輝かせた。

「ママのお?」

私は彼女の目を見てはっきりと答えた。

「そう、今は私たちの

夫の言葉で提示されたでもない。

母が世体を気にして支配する実でもない。

ここは違いなく、私が私ので入ることを許された所だった。

その夜の活の準備は、何もないところからのスタートだった。

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