みかん小説
本棚

"離婚11日後、私に9億8000万円が当たった" 第6話

布団もない、料もない。

それでも、私は議と絶望していなかった。

元には10億円いおがあるという事実。

それがの奥底で私を支えていた。

だが、その力に頼りすぎるのは危険だと分かっている。

今はまだ、この古いで静かに呼吸をえるだった。

はすっかり暗くなった。

古い窓ガラスがし鳴っていた。

ここからどうやって活をて直していくか。

向の転続き。

限の活必需品の買いし。

考えるべきことはのようにあった。

しかし、私のは13番落ち着いていた。

夜の静寂の、突然チャイムの音が鳴った。

古いインターホンは壊れていなかったらしい。

玄関のすりガラス越しに、作業姿のシルエットが見えた。

私はし警戒しながら、そっと扉をけた。

そこにっていたのは、両きな荷物を抱えた弟の修平だった。

「おう、いててよかった」

彼はぶっきらぼうに言いながら、ドカドカとがり込んできた。

彼のろのには、さらにくの荷物が積まれていた。

修平は次々とから活用品を運び込んだ。

畳のに置いていった。

敷きたての布団。

きなペットボトルの

お鍋やヤカン。

それにトイレットペーパーや洗剤など、当面の活に必なものばかりだった。

向が目を輝かせて駆け寄った。

広告

「おじちゃん!」

修平は娘のをポンポンと叩いた。

「おう、向。こんな埃っぽいところでごめんな」

私は彼に向かってげた。

「修平、本当にありがとう。助かったわ」

弟はし気まずそうに線を逸らした。

「母さん、まだってるよ。俺がここに来たことは内緒だ」

私は申し訳ない気持ちで言った。

「そうよね。ごめんなさい。板挟みにして」

修平はを軽く振った。

「いいよ。親父の言った通りになっただけだ」

荷物を運び終えると、修平は部の真んち尽くした。

しの、私をじっと見つめていた。

それからい声で尋ねた。

「姉ちゃん、丈夫なのか?」

私はしドキリとした。

私の財布のには、数万円しかなく、当面の活費すら許ないように見えるはずだ。

でも、私には約9億8000万円の当選がある。

瞬、彼にだけは話してしまおうかと迷った。

しかし、をどう変えるか分からない。

私は自分自を落ち着かせるためにも、今はまだ言わないと決めた。

丈夫よ。なんとかなるから。本当にいい」

修平は疑わしそうに眉を寄せた。

彼は作業のポケットから、自分の財布を取りした。

千円札や万円札が雑に入っているのが見えた。

私は慌てて彼のを止めた。

「いらない!本当に受け取れないわ」

修平は私の顔を見た。

「俺はまだ何も言ってないぞ」

広告

私はがって見せた。

「顔を見れば分かるわよ。弟のおを当てにするほど落ちぶれてないから」

修平はく笑い声を漏らした。

「じゃあ、どうしても困ったら言えよ。飢えにされても困るしな」

私は彼に謝の目を向けた。

「うん。そのはお願いする」

弟はそれ以く追及することなく、「じゃあな」と言って帰っていった。

彼の乗るのテールランプが見えなくなるまで、私は玄関で見送った。

その夜、敷きたての布団に向と2で潜り込んだ。

古いは断性がく、夜たくじられた。

それでも、誰の目も気にせずを伸ばせる空は、とてもよかった。

しばらく井の目を数えていた向が、さな声で聞いてきた。

「ママ、おばあちゃん、私たちのことってる?」

私はし躊躇した。

しかし、嘘をついても仕方ないとい、正直に答えた。

「うん。ってるわ」

娘は布団を元まで引きげた。

な目で私を見た。

「私のことも嫌いになっちゃったの?」

私はすぐに娘の方を向いた。

そのさな肩をしっかりと抱き寄せた。

「違うよ。絶対に違う。あれはの話なの」

向はしそうな声で聞いた。

「じゃあ、なんでおに入れてくれなかったの?」

9歳の子供にとって、実の祖母に払いされた事実はあまりにショックがきかったはずだ。

向が泣かなかったことが、かえって私には痛ましくじられた。

答えを探すのは苦しかった。

母の古い価値観や世体を、この子にどう説すればいいのか。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: