"離婚11日後、私に9億8000万円が当たった" 第9話
私は呼吸をして、通話ボタンを押した。
「もしもし」
達也の声がした。
「俺だ。急に悪かったな」
達也の声は、以のような見した響きが抜けていた。
「向に会いたい。面会の程を相談したいんだが」
私は静にカレンダーを確認した。
「週末の曜なら丈夫よ。でもには来ないで、で会いましょう」
達也はすぐに答えた。
「分かった。所はそっちで決めてくれていい」
以の彼なら、「なんで俺がわせなきゃいけないんだ」と文句を言ったはずだ。
それがすんなりと私の条件を受け入れたことに、しだけ驚いた。
週末、私たちは駅のショッピングモールにあるカフェで待ちわせた。
そこには子供が遊べるキッズスペースがあり、面会にはちょうど良かった。
私が向のを引いてに入ると、すでに達也が席で待っていた。
彼は私と娘の姿を見つけると、しぎこちなくちがった。
達也が腰をかがめて声をかけた。
「向、元気だったか?」
向は私のろにし隠れるようにした。
「うん」
達也が優しく聞いた。
「お、変わったの?」
娘の態度は、以よりもしよそよそしかった。
達也が私を蔑ろにしていたことを、向は子供ながらにじ取っている。
そして、実ので祖母に拒絶された記憶もまだしかった。
達也はし傷ついたような顔をした。
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しかし、無理に娘を抱き寄せようとはしなかった。
「そっか。しい学はどうだ?」
向はさな声で答えた。
「まだよくわかんない」
向がキッズスペースへおもちゃを取りにった。
私たちはテーブルを挟んで向きった。
達也がコーヒーカップを両で包み込みながら、探るように聞いてきた。
「丈夫なのか?」
私は彼の目を見た。
「ええ、なんとかやっているわ」
達也は線を落とした。
「史恵さんから聞いたは驚いたよ。実に入れないなんて」
私は静に答えた。
「私たちが勝にたのよ。お母さんのせいじゃない」
私は母を庇うつもりはなかった。
しかし、彼に実の恥をさらすつもりもなかった。
達也は私の顔をじっと見つめた。
「活、苦しいんじゃないのか」
婚届をした、彼は「現実を見たら分かる」と笑った。
私が1で活できず、泣きついてくるのを待っているようなぶりだった。
しかし、今の彼は以のように「だから言っただろう、無理だろ」とは言わなかった。
達也は線を落とし、静かに言った。
「必なことがあったら、向のことで言ってくれ」
私は首を横に振った。
「おのことなら、養育費だけで分よ。約束通り振り込んでくれれば、それでいい」
がりだとわれるかもしれない。
しかし、私には実際におのはないのだ。
達也は複雑な表を浮かべた。
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「俺は向の父親だからな。できることはするつもりだ」
私は彼の言葉を受け止めた。
「分かっているわ。だからこうして面会にも来ている」
私は彼との距を正確に測り直していた。
私たちはもう夫婦ではない。
向の父親と母親という、最限の繋がりがあるだけだ。
彼が過の自分の傲さをし反省し始めているのは分かった。
しかし、それと私が彼を許すかどうかは別の問題だった。
13、私の稼ぎを族のだと言って、自分の判断で処理してきたこと。
向の教育資を勝に使ったこと。
その事実は決して消えることはない。
私は彼からの提案に対して、曖昧な期待を持たせるような返事はしなかった。
「向の父親としての責任を果たしてくれるなら、面会は続けるわ。でもそれ以はない」
私の言葉に、達也はくうなずいた。
復縁の話は切なかった。
1の面会が終わり、私たちはので別れた。
達也は向にを振り、駅の方へと歩いていった。
そのろ姿は、私が結婚していた頃に見ていたものより、しさく見えた。
私は向のを握り直し、駐へと向かった。
向が議そうに見げてきた。
「ママ、パパなんか元気なかったね」
私は彼女のを握った。
「そうね。でも向に会えて嬉しそうだったよ」
娘はうなずいた。
「うん」
娘はそれ以くは聞かず、に乗り込んだ。
私は運転席に座り、シートベルトを締めながらく息を吐いた。
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