"離婚11日後、私に9億8000万円が当たった" 第11話
「修平、あのね……」
修平は議そうに私を見た。
「何だよ」
私は彼をまっすぐに見つめた。
「私、宝くじ当たったの」
私が静かに告げると、修平はキョトンとした顔をした。
「ふうん」
彼は1秒ほどを置いてから、首をかしげた。
「いくら?」
私は答えた。
「9億」
修平のきがピタリと止まった。
私は正確な数字を付け加えた。
「8000万」
弟は息をするのも忘れたように固まった。
「約9億8000万円」
30秒く、部のは無音になった。
壁の秒針の音だけが、夜更けにきく響いていた。
修平はゆっくりと線を落とした。
机のの封筒を見た。
そして無言のまま封筒をに取った。
自分のポケットに素くしまった。
「じゃあ俺が持ってきたべ。返せ」
そのあまりに真顔の求に、私はわず吹きしてしまった。
「何よそれ!」
私はお腹を抱えた。
婚して以来初めて、声をげて笑った。
修平も釣られたように笑いした。
私たちはしばらくの、涙がるほど笑い転げた。
笑いが収まると、修平はすぐに真顔に戻った。
彼の声はく、真剣だった。
「母さんには絶対に言うなよ」
私は議にって聞いた。
「なんで?」
修平はため息をついた。
「があるってったら、母さんのことだ。今度は『族なんだから』って言いして全部仕切ろうとするに決まってる」
修平の言葉に、私の顔からすっと笑いが消えた。
元夫の達也が、私の料や娘の貯を計算するに言った言葉と同じだ。
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「族のだろう」
そのたい記憶が蘇り、胸の奥がチクリと痛んだ。
私はうなずいた。
「分かってる。だから誰にも言わずに活をえようとってたの」
私は修平をまっすぐに見つめた。
でも、修平には配をかけたくなかった。
私は尋ねた。
「ねえ、修平は何も欲しくないの?」
弟はあっさりと答えた。
「欲しいよ」
私はし驚いて彼の顔を見つめた。
彼もやはり、おの魔力には抗えないのだろうか。
修平は肩をすくめた。
「10億いんだろう。欲しくないわけない」
彼は缶コーヒーをける仕のように自然に言った。
しかし、彼はそこからしだけを置いた。
私の目をまっすぐに見返した。
「でも、欲しいことと、もらう権利があることは別だ」
私はその言葉に、に打たれたような衝撃を受けた。
もらう権利はない。
それは、族だからと言って相の財産を無条件に共できるわけではないという、彼なりの境界線だった。
達也も母も、私に対してその境界線を軽々と踏み越えてきた。
しかし、ので何も持っていない私を助けてくれた弟は、違った。
のをっても、その線を守ろうとしている。
私の目に、いものが込みげてきた。
界がぼやけ、涙が頬を伝うのをじた。
修平がし照れくさそうに顔を逸らした。
「何?」
私は涙を拭った。
「別に、ししただけ」
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修平はちがってズボンの埃を払った。
「じゃあの話は終わりだ。俺はもいから帰るぞ」
私はから謝を込めて言った。
「ありがとう、修平」
私は彼がドアを閉めるまで、その背を見送った。
秘密を共したことで、私はもう孤独ではなかった。
翌、私は修平の勤める気設備会社に話をかけた。
「修平さんをお願いします」
会社の事務に取り次いでもらい、修平が話にた。
「おう。姉ちゃん、どうした?」
私は件を伝えた。
「の修繕を頼みたいの。気配線が古くて危ないから、事をお願いできる?」
話の向こうで、修平がし驚いたような声をした。
「ああ、いいけど、内価格にするか?」
私は首を横に振った。
「ううん。普通のプロの見積もりでお願い」
私ははっきりと答えた。
修平は納得したように言った。
「解した。じゃあの夕方にでも見にくわ」
仕事は仕事、族は族。
おがあるからと言って甘えるのではない。
正当な対価を払って関係を築く。
それが、私が「もらう権利は別だ」と教えてくれた弟へ示す誠だった。
私はさらに、元の務にも連絡を入れた。
根や浴の修繕の見積もりを依頼した。
に振り回されるのではない。
自分たちの全な活基盤を作るために、正しくおを使う。
それが、私の最初の能な選択だった。
就職活についても、考え方を変えることにした。
急いで条件の悪い仕事に就く必はない。
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