"離婚11日後、私に9億8000万円が当たった" 第15話
袋をのに入れた。
にはタッパーに詰められた煮物が入っていた。
昔から私が好きだった、甘辛い付けのそれを見た。
しだけ胸が締めつけられた。
それから数ヶが過ぎた。
母からの話や訪問はパッタリと途絶えた。
修平に聞くと、実で静かに過ごしているという。
「私から連絡をする」と言った、母なりに待っているのかもしれなかった。
季節が変わり、たいが吹き始めた頃だった。
郵便受けに見慣れた文字で宛名がかれた通の封筒が入っていた。
母からのだった。
私は居のテーブルに座った。
ペーパーナイフで慎に封を切った。
便箋は2枚。
そこには私がこれまで全くらなかった、母の過が綴られていた。
の最初の文を読んだ瞬、私のので何かが音をてて崩れた。
『私の母、婚したの』
私は目を疑い、その文を何度も読み返した。
祖母は私が幼い頃にくなっており、あまり記憶がない。
しかし、母のから祖母が婚していたなどという話は、度も聞いたことがなかった。
にはさらにこう続いていた。
『私が若い頃、母は親戚からひどく責められました』
『女つでの仕事は苦労ばかりで、私たちはいつも貧困のにいました』
『私は所のから、婚した女の娘だとろ指を指されて育ったの』
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私は息をするのも忘れた。
便箋を持つに力を込めた。
母が世体を極端に気にし、私に『しなさい』とし続けてきた理由。
実のを閉ざし、私を達也の元へ無理やり戻そうとした理由。
それは、単なる古い価値観や見栄のためだけではなかったのだ。
母はずっと恐れていたのだ。
自分の娘が、かつて自分がわった惨めな貧困と差別に苦しむことを。
『あなたに同じいをさせたくなかった。帰りをなくせば、を張るのをやめて元の活に戻るとったの』
の文字が、しだけ滲んでいるように見えた。
私ので、これまで母に対して抱いていた認識がきく反転していくのをじた。
母のは決して正当化されるものではない。
しかしそこには、私を支配しようとする悪だけではなかった。
歪んだと恐怖があったのだ。
10億円というを持ったことで、私は方に母を切り捨てようとしていた。
自分が被害者であると信じていた。
母ののにある傷を見ようともしなかった。
でも、本当の事実に向きわなければ、私たちは過の呪いに縛られたままだ。
私はを静かにテーブルに置いた。
窓のの空を見げた。
私ので、母と対等に話をするための準備が、静かにいつつあった。
母からのを読んだ数、私は実に話をかけた。
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「もしもし」
母の声はし張りがなく、さかった。
私はゆっくりと切りした。
「みかだけど。読んだわ」
話の向こうで、母が息を呑む気配がした。
「お母さん、し会いましょう」
私は続けた。
「実でも私のでもない所で」
私はくにあるしきめの公園を指定した。
の午に待ちわせることにした。
どちらかの領域に入れば、また力のバランスが崩れてしまう気がしたからだ。
対等なで話をするためには、誰のものでもない所が必だった。
翌の午、空にはいが広がり、たいが吹いていた。
私は指定した公園のベンチに座っていた。
しまで遊んでいた子供たちが残していった砂のを眺めていた。
約束ののし、枯れ葉を踏む音と共に、母がゆっくりとづいてきた。
茶いコートを着た母は、最に実の越しに見たよりも、しさく見えた。
母がしれた位置でち止まった。
「みか」
私は隣のスペースを空けた。
「座って」
母はためらいながら腰をろした。
私たちはしばらくの、目ののブランコがで揺れるのを見ていた。
先にをいたのは母だった。
「、いた通りよ」
母の線は砂に向けられたままだった。
「帰る所をなくせば、あなたが婚をやめるとったの」
私はただ黙って聞いていた。
母は震える声で続けた。
「私が子供の頃に経験した惨めないを、向にさせたくなかった。
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