みかん小説
本棚

"離婚11日後、私に9億8000万円が当たった" 第24話

自分自の信用という居所だった。

元夫の達也もまた、自分の選択がもたらした結果を静かに受け入れ始めていた。

あるれた週末の午

達也はに1度の面会のために、向を迎えにやってきた。

私は玄関の扉をけた。

彼が敷を止めているのに気づいた。

彼は改修が終わった古いを、眩しそうに見げていた。

「いいだな」

達也がしみじみとした声で言った。

私はく答えた。

「ありがとう」

彼はしだけ元を緩め、線を私に向けた。

「宝くじで、もっとすごい、買えるだろう」

彼の言葉には、嫌や皮肉は含まれていなかった。

ただ純粋な疑問として、私に尋ねているようだった。

私は事実をそのまま肯定した。

「買えるわね」

彼は尋ねた。

「買わないのか?」

私が迷いなく答えた。

「今はここがいいの」

達也はく息を吐いた。

「そうか」

彼はそれ以、私の資産や活の選択について何も言わなかった。

彼ので、私がおに振り回されず自分のきていることが、完全に腑に落ちたのだろう。

向がリュックを背負ってからしてきた。

達也は父親の顔になった。

2は楽しそうにに乗り込んだ。

夕方までかけていった。

達也は毎約束通りの養育費を、私の座に振り込み続けている。

かつて彼は「俺が養ってやっている」「俺のだ」

広告

と私を見していた。

自分の浪費を正当化していた。

自分の収入がなければ、私はきていけないと信じていた。

婚届をにも、「戻ってきてもいい」と笑っていた。

しかし今、彼は私が10億円い資産を持っていることをっている。

それでもなお、彼は娘の父親としての責任を果たそうと、毎のおを振り込んでいるのだ。

それはもはや、私を支配するための具ではない。

ただ純粋に、彼が向の父親であり続けるための最の細い糸だった。

彼は夫としての権威と、自分のためだけにある都の良いを永に失った。

彼が帰る所は、私と娘が暮らすこのではない。

彼が1で借りている狭いマンションの部だ。

私たちが復縁することはない。

しかし、父と娘の関係は、以よりもずっと穏やかにいつつあった。

彼が失ったものと引き換えにに入れたのは、虚勢を張らない等の父親としての姿だった。

それからさらに2が流れた。

私は40歳になり、向はの卒業をに控えていた。

季節はを迎えた。

桜のう頃、私たち族に1つのきな慶事が訪れた。

弟の修平が結婚することになったのだ。

は同じ職で働く、るくてしっかりとした女性だった。

結婚式は親族と親しい友だけを招いた、ごくさなものだった。

広告

叔父たち部の親戚の姿はそこにはなかった。

修平自が、から祝ってくれるだけを呼びたいと判断したからだ。

宴の最、私は郎側の親族席で向と緒に料理を楽しんでいた。

砂の席で微笑む弟は、し照れくさそうにしながらも、とても幸せそうだった。

隣に座る母の史恵も、目を細めて息子夫婦を見守っていた。

母の顔からは、世体を気にして親戚の顔を窺うような、昔の険しさは完全に消えっていた。

式も終盤に差し掛かった頃だった。

直しを終えた修平が、各テーブルを回って挨拶に来た。

私たちのテーブルに来た、私は自分のバッグからご祝儀の包みを取りした。

「修平、本当におめでとう」

私が両で包みを差しした。

修平はそれを受け取り、さを確かめるようにで軽くに振った。

「ありがとう。でも……」

彼はいたずらっぽい笑みを浮かべて、私をからかった。

「なんか、なくない?」

に入っているのは、10億円の資産を持つ姉からの特別なではない。

な相通りの、ごく普通のご祝儀だった。

を渡さないことは、私が修平とのに引いた切な境界線だった。

私はし首をかしげて尋ねた。

「欲しい?」

弟は迷うことなく即答した。

「欲しい」

私たちは顔を見わせ、声をげて笑った。

でも今度は、弟が私の言葉を先回りして言った。

「もらう権利はない」

私は嬉しくなって言った。

「覚えてたのね」

修平は目を細めた。

「当たりだろ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: