"離婚11日後、私に9億8000万円が当たった" 第26話
私が絶望をわった所だ。
その記憶を、ただ曖昧に塗りつぶして終わらせたくはなかったのだ。
のドアの音に気づいたのか、玄関の扉がいた。
着替えを済ませた母が、驚いたような顔でりにへてきた。
「みか、向。どうしたの?」
母はの内側でち止まった。
議そうに私たちを見た。
私はのにったまま、母に向かってしだけ笑いかけた。
「入っても、いい?」
私がそう尋ねると、母のきがピタリと止まった。
母の線が、私と向、そしてかれた扉のをせわしなくいた。
3というが巻き戻ったのだろう。
あのと同じ景が母の脳裏に蘇ったのだとう。
私が数週だけ置いて欲しいと頼んだ。
母が『入るな』と告げた夕暮れ。
母の目から、あっというに涙が溢れした。
母は震えるで扉を掴んだ。
自分自の力で、それをきくけ放った。
母は涙声で、しかしはっきりとした笑顔で言った。
「もちろん。2とも、お帰り」
その言葉を聞いて、向がびした。
「ただいま!」
とても元気にをくぐってっていった。
母はしゃがみ込んだ。
び込んできた孫を、しっかりと抱きしめた。
私はゆっくりと歩踏みし、を通り抜けた。
のにあった最のさな棘が、のに吹かれて溶けていくのをじた。
でも私はもう、このに入れてもらえなければ帰る所がない娘ではない。
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私には、父が残してくれた青い根のがある。
その玄関をける、自分自の鍵がある。
活を守るためのおがある。
何より、誰とどう関わるかを自分で決める権利がある。
だからこそ、この「お帰り」という言葉をからのびとして受け取ることができたのだ。
13の結婚を終えた11。
私は何気なく買っていた宝くじで、約9億8000万円に当選した。
けれど私は、そのことを母にも弟にも、9歳の娘にも元夫にも話さなかった。
婚したばかりでも活も落ち着いていなかった。
突然に入ったに恐怖を覚えた。
だから専へ相談し、しばらくきな買い物も贈与もせず、まず活をえることにしたからだった。
だから娘を連れて実へ向かったあの、母は私が10億円い資産を持っているとはにもっていなかった。
母から見えていた私は、13の結婚に失敗した娘だ。
も分な収入もないまま、実へ逃げ帰ってきた38歳の娘だった。
私は数週だけ置いて欲しいと頼んだ。
しかし母はに鎖をかけた。
『婚したら帰ってくるなと言ったでしょう』と私を拒絶した。
『達也さんに謝りなさい』と言った。
最には『入るな』と告げた。
9歳の向が『おばあちゃん、私も?』と聞いても、母はをけなかった。
『向は悪くない。でもお母さんがちゃんとするまでだめ』と言った。
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その『ちゃんとする』とは、元夫へ謝り、子供のために婚を撤回したような活へ戻ることだった。
母はさらに『このは将来修平のなの』と弟の名までした。
その瞬、私は自分には本当に帰るがないのだとった。
ところが母が元夫と話しようと背を向けた、弟の修平が誰にも気づかれないよう私の横へ来た。
何も言わず私のを取った。
古い鍵と所をいたさなを握らせた。
そして、ほとんど聞こえない声で囁いた。
『駅裏。親父の。先空いた。鍵、俺が持ってた。今夜はそこへけ』
そこは、くなった父が持っていたさな2LDKのだった。
相続も貸していたため、私はほとんど使ったことがなかった。
弟が管理を伝っていた。
先、の賃借が退していたのだ。
弟は、父が『みかが困った、帰れる所を1つ残しておけ』と言っていたことを覚えていた。
私は母に何も言わず、娘を連れてそのへ向かった。
古くし埃っぽく、決して豪華ではなかった。
しかしも気も使えた。
娘から『ここの?』と聞かれた。
私は初めて『今は私たちの』と答えた。
その夜、修平は布団、、鍋、ヤカン、トイレットペーパーを持ってきた。
『、丈夫?』と聞かれたが、私はまだ宝くじのことを言わなかった。
『しばらくは丈夫』とだけ答えた。
弟はそれ以聞かなかった。
その、元夫の達也が、母から『みかが帰ってきてもへ入れない』と事に聞かされていたこともった。
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