みかん小説
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"妹が断った牡蠣漁師は、港の社長だった" 第2話

いつしか私には、自分で選ぶに、にすべてを譲ってしまう癖がついていた。

母は、私のそんな態度を見るたびに、決まった言葉をにした。

「織は、できる子だから」

私は、その言葉を聞くたびに、胸の奥がたくなるのをじていた。

それは、見すると褒め言葉のように聞こえる。

しかし、その言葉の裏には、「あなたは回しでいい」という残酷なが隠されていたのだ。

私が35歳になった、そのののことだった。

母が、見いの釣をリビングのテーブルのに置いた。

相は、くれた瀬戸内のさな島で、牡蠣の養殖をしているという42歳の男性だった。

名は、神総郎。

私は、テーブルに置かれた彼の紹介写真を、そっとに取った。

写真のの彼は、分いゴム袋をはめたまま、揺れるのに力くっていた。

太陽のに黒く焼けした顔で、カメラに向かって、ひどく器用に笑っている。

私は、その飾らない笑顔から目がせなかった。

しかし、その縁談話は、最初から私宛てに来たものではなかった。

母は、その写真を真っ先に妹の美咲に見せていたのだ。

美咲は、総郎の写真をちらりと見ただけで、で笑って突き返した。

「毎、の匂いがするような活なんて、絶対に無理」

美咲は、顔をしかめてそう言い放った。

母は、そんな妹の態度をたしなめることもなく、困ったように私の方へ線を向けた。

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「お姉ちゃんが代わりにけば、あんな田舎のでも文句は言わないでしょうし」

美咲のその無い言葉を、母は止めることすらしなかった。

それどころか、母は私の顔をまじまじと見つめて、平然とこう言った。

「美咲には、もっと条件のいいがいくらでもいるでしょう。でも、織なら、こういうの方がかもしれないわね」

私は、膝ので両をきつく握りしめた。

そのの夕の席でも、誰も私の本当の気持ちを聞きそうとはしなかった。

私は、箸をかしながら、ので静かに決を固めていた。

『この縁談は、絶対に断ろう』

ところが、翌朝のことだった。

私は、仏壇にをわせながら、くなった祖母がに残してくれた言葉を、ふといしていた。

「織。自分のまで、誰かに譲ったらいけないよ」

祖母のしわがれた、しかし優しい声が、の奥に蘇る。

私は、仏壇の遺を見つめながら、く息を吸い込んだ。

もし、このまま実にいれば、私は「できる姉」の役割を演じ続けることになる。

私は、ぎゅっと目を閉じ、そして静かに目をいた。

『そうなるくらいなら、1度だけ、自分の志でこのに会ってみよう』

そういち、私は見いの席に向かうことを決めた。

顔わせの当。

私は、ホテルのラウンジで対面した総郎の目を、まっすぐに見つめた。

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私は、最初にすべての事実を打ちけることにした。

「本当は、妹に来たお話でした」

私は、膝のでハンカチを握りしめながら、言葉を紡いだ。

「妹が断ったので、私が代わりに来ました」

私は、彼の表を盗み見た。

これで、すべてが終わるだろうとっていた。

しかし、総郎は、って席をつようなことはしなかった。

彼は、しばらくの、じっと黙り込んだ。

そして、テーブルのにあった温かいお茶の入った湯呑みを、そっと私のへ寄せた。

「代わりでも、今ここへ来ると決めたのは、あなたでしょう」

私は、そのいがけない言葉に、弾かれたように顔をげた。

総郎は、く落ち着いた瞳で、私を見つめ返していた。

彼は、自分を派に見せようと取り繕うようなことは、切しなかった。

「朝は、3に起きます。のは、骨の芯まで凍えるほど厳しい」

彼は、ゆっくりとした調で語り始めた。

「は古くて、がい夜には、窓がガタガタと鳴ります。収入も、候にきくされてしまいます」

彼は、島の過酷な現実を、1つずつ正直に私に話して聞かせた。

そして、私の顔をまっすぐに見つめ、私の仕事について尋ねてきた。

「で、売りを作っています」

私は、しだけ誇りを持ってそう答えた。

「本を選ぶんですか?」

彼は、興そうにを乗りした。

「いえ、選ばれなかった本に、きのポップをつけるんです」

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