みかん小説
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"偽りの血液型" 第2話

私、さやかは幼い頃からをし、フラワーアレンジメントに没する女だった。 期学を卒業したは、願だった元のフラワーショップに就職し、とりどりの々に囲まれながら充実した毎を送っていた。 そんなあるの午、を訪れたのが、製薬会社の営業マンをしていた本勇吾だった。

「あの……すみません。司の奥さんが誕らしくて、を贈りたいんですが……何を選んだらいいのか、正直まったく分からなくて」

仕てのいいスーツを着た彼は、く刈り込んだ髪にをやり、照れくさそうに眉をげて困ったように笑っていた。 気取ったところがなく、どこか素朴で器用なその笑顔に、私は自然と緊張が解け、笑顔で応対したのを覚えている。 奥様の齢や好みのを丁寧に聞き取り、を込めて作ったフラワーアレンジメントを渡すと、彼は「すごい、完璧です!」と目を輝かせてんでくれた。 それが、私と夫との会いだった。

それ以来、勇吾は頻繁に私の働くへとを運ぶようになった。 には会社のデスク用にとさな観葉植物を買い、には「母へのプレゼントに」と束を注文した。 やがて自然な流れで事に誘われ、何度目かのデートの席で、彼はデザートの皿が運ばれてきた瞬に、緊張で赤くなった顔でいきなり指輪のケースを差ししてきたのだ。

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「さやかさん。僕と、結婚してください」

あまりの唐突さに、私は目を丸くして驚いた。会ってからまだ数ヶしか経っていなかった。 だが、彼の器用なまでの誠実さと優しさに、私のもしずつ惹かれていたのは事実だった。 私たちは交際をね、会いからちょうどに結婚の運びとなった。

だが、この婚姻は、最初からきな暗を孕んでいた。 プロポーズを受け、彼の両親へ挨拶にくことになって初めて、私は本の尋常ではない柄をらされたのだ。 勇吾の父・本直は、都内でも指折りの規模を誇る総病院の院を務める名な医師。 そして母の苗は、かつて幕を飾った元女優であり、現は社交界で「美貌の院夫」として名を馳せている物だった。

世田の丘のに建つ豪壮な邸宅。 初めての顔わせの席で、義母・苗は私を瞥するなり、ややかな線を投げかけてきた。

「どうせ、うちの財産目当てで息子を誘惑したんでしょう? 井のの娘が、よくもまあ抜け抜けとこの敷居を跨げたものね」

初対面からあからさまな侮蔑と敵。 そのも事あるごとに、義母はで私の着ているやち居振るいを嘲笑い、「私の若い頃の美しさとは比べ物にならないわね」と容姿を貶めた。 夫である勇吾にその辛さを訴えても、彼はいつも困ったように笑うだけだった。

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「母さんはしが悪いところがあるけど、根は悪いじゃないんだ。さやか、刻に考えすぎだよ」

マザコン気質の勇吾は母にががらず、私と義母のにって庇ってくれることは度もなかった。 それでも私は、する夫のために耐え忍んでいたのだ。

え切った嫁姑関係に、劇な変化が訪れたのは結婚から半も経たない頃だった。 私の妊娠が発覚したのだ。 産婦科で陽性の判定を受け、恐る恐る義実のリビングで報告した際、誰よりも過剰なびを見せたのは、ならぬ義母の苗だった。

「まあ! 本当なの、さやかさん!? 本の跡継ぎができたのね!」

苗はちがり、それまでの淡さが嘘のように私のを取った。

「きっと勇吾に似た、利発でい子がまれるわ! 本当に楽しみねえ。あなた、これからはいものを持っちゃダメよ。のことも無理をしなくていいからね」

まるでのひらを返したような激変ぶりに、私は唖然としながらも、胸の奥に抹の違を抱かずにはいられなかった。 あれほど私を「財産目当ての棒猫」と罵っていたが、妊娠が分かった途端に極の笑みを向けてくる。 だが、まれてくる子供にとっては、血の繋がった唯の祖母だ。 (ここは波をてず、表面だけでも仲の良い嫁を演じておくべきね……) 私は自分にそう言い聞かせ、義母の過剰な歓待を受け入れ、穏やかなマタニティライフを送ろうと努めた。

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