みかん小説
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"二十人分の祝い膳を押しつけられたので、家を出ました" 第4話

そして、通りのない裏通りのさなカフェの片隅に席を取り、震えるでスマートフォンの画面をタップした。

ブラウザの検索窓に打ち込んだ文字列――【覇空港 片航空券】。

なぜ沖縄だったのか。確な理由はなかった。 ただ、京から最もく、青いとかいが吹き、あの湿な義実の怨が絶対に届かない所。パスポートを持たずに、今すぐ逃げせる最果ての。それだけだった。

搭乗:来週曜、午発。 羽田空港発、覇空港き。 チケットの種類は、迷うことなく「片(片運賃)」を選択した。

クレジットカード番号を入力し、決済ボタンを押す。 画面が切り替わり、【予約が完しました】という無質なフォントが表示された。

「……買えた」

吐きした息が、さく震えていた。 万千円。今の私にとっては決してくない費だったが、自分の魂を買い戻すための代だとえば、あまりにもすぎた。

私はスマートフォンの画面を伏せ、めきったアイスティーを気にみ干した。 曜の朝、私は姿を消す。 そして翌の曜、の親戚を招き入れ、得満面で「嫁の料理」を自しようとする義実の茶のに残されるのは――ただつ、空っぽの祝い膳だけだ。

像するだけで、私の唇に、何ぶりかもいせない徹な笑みが浮かんでいた。

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スーパーの裏から廃棄予定の綺麗なダンボール箱をつ譲り受け、平たく折りたたんで型のエコバッグに忍ばせて帰宅した。 刻は午。志保はまだお茶み友達のから戻っておらず、のはんだように静まり返っていた。

私は忍びで階の寝へとがり、クローゼットの奥く、物のウールコートの裏側にそのダンボールを滑り込ませた。

クローゼットの扉をけ放ち、を見渡す。 驚くべきことに、幅半もあるきな収納スペースの割以は、啓介のブランド物のスーツやカジュアルウェア、そしてゴルフバッグで埋め尽くされていた。 私に割り当てられていたのは、端のわずかセンチほどの隙。吊るされているのは、数に買ったくたびれたブラウスと、パート用の黒いスラックス、そしてなワンピースが着だけ。

「……私のって、これだけだったんだ」

私物のあまりのなさに、乾いた笑いが漏れた。 だが、それは逃者にとっては最の武器だった。 本当に必な類との回りの品だけを選別すれば、ダンボールつにすべて収まってしまう。未練を残すような価な宝も、夫から贈られた記品も、最初からこの部には何つしなかったのだから。

私は作業を次のフェーズへとめた。

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階の廊の突き当たりにある、啓介の斎。 普段は「男の聖域だから勝に入るな」と鍵こそかけられていないものの、私のち入りを極端に嫌う部だった。

ドアを静かに押しけ、スリッパを脱いで入する。 壁際のな製デスク。その番のい引きしに、がの類が括して保管されていることを、私は以の末調の伝いの際に把握していた。

引きしを引くと、几帳面な啓介らしく、透なクリアファイルにラベルが貼られて然と並んでいた。 私はそのから、迷うことなく私個の類――【帳】、【雇用保険被保険者証】、そして私名義で独代から加入していた【命保険証券】を抜き取った。

そして、最もなもの。 引きしのペントレーの奥に置かれた、さな革製の印鑑ケース。 をけると、本の印鑑が入っていた。つは、啓介の実印。そしてもうつは、私の旧姓と現の姓の両方で登録能な、私名義の届印だった。

「……よし」

私はその印鑑をケースから抜き取り、代わりに、先ほど駅の文具で百円で購入してきた、同じサイズのプラスチック製の文判をコトリと収めた。 肉でパッと見比べただけでは、体や材質の違いくらいしか判別できない。普段から雑な啓介が、このすり替えに気づくはずがなかった。

本物の印をポケットの奥くへしまい込み、抜き取った類を抱えて自分の部へ戻る。

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