みかん小説
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"二十人分の祝い膳を押しつけられたので、家を出ました" 第5話

折りたたんでいたダンボールのつを組みて、底に類を敷き詰めた。

だが、この――。 啓介の斎の引きしを閉める直、私の指先が触れた、ファイルの隙の「異物」の触が、どうしてもかられなかった。

番奥のクリアファイルのさらに。 引きしの底板と背板の隙に、無理やり押し込むようにして挟み込まれていた、みのある茶封筒。 表には宛名も文字も切かれておらず、の部分は透なOPPテープで頑丈に目張りされていた。

(……何、これ?)

啓介は極度の秘密主義者だったが、同に見栄っ張りで、銭の管理だけは神経質なほど透性を装っていた男だ。「活費は全部俺が管理してやってる」と豪語していた夫が、なぜこんな所に、目を避けるようにして封筒を隠しているのか。

その封筒の端を指で引っ張りそうとした、まさにその――。

ガララッ!!

階の玄関の引き戸が、乱暴に叩きけられる音がに響き渡った。

「ただいまー! ちょっと美咲さん、どこにいるのさ! く荷物持ちなさいよ!」

志保の鳴り声だった。 私は全の血が逆流するような戦慄を覚え、引きしを素く押し戻すと、音をてずに斎を抜けした。 階段の踊りまで滑り込み、エプロンの紐を締め直しながら、平然とした声を絞りす。

「お帰りなさいませ、お義母さん。

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今、階の掃除をしておりました」

階を見ろすと、量の買い物袋を玄関のタタキに放りし、額に汗を浮かべた志保が、満げに私を睨みつけていた。 危なかった。あと秒遅ければ、斎からてくるところを現犯で見咎められていた。

だが、あの引きしの奥で指先に触れた、異様なみを持つ茶封筒のたい触。 それが、私のに拭いることのできない、巨な吉のを落としていた。

曜の夜。運命の脱まで、あとを切っていた。

夕の席は、相変わらずの獄絵図だった。 「美咲さん、曜の鯛だけどね、所の魚のじゃダメよ。隣町のまでって、活け締めの然物を仕入れてきなさい。養殖なんてしたら親戚に恥をかくだろ」 「お義姉さん、部の飾り付けのバルーンアート、YouTubeで作り方見て練習した? 失敗したら承しないからね」

志保と美の矢継ぎな命令に対し、私は「はい、かしこまりました」「配しておきます」と、を完全に消しった械のように頷き続けた。 彼女たちは、私が完全に自分の支配に屈し、逆らう気力を失ったれなロボットになったと信じ込んでいた。だからこそ、私に対する警戒は完全にゼロになっていたのだ。

午半。 志保が階の自へ引きげ、啓介が缶ビールを本空けてリビングのソファでい鼾をかき始めたのを確認した。

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私は靴を脱ぎ、裸になって音を殺しながら、再び階の啓介の斎へと潜入した。 には、さなカッターナイフと、スマートフォン。

デスクのに潜り込み、番の引きしを限界まで引きす。 奥の隙にを差し入れ、あの茶封筒を慎に引っ張りした。 OPPテープで頑丈に目張りされた封の端にカッターの刃を当て、音をてないようにミリ単位で切り裂いていく。

封筒のから滑りてきたのは、数枚の公な類のコピーと――方の、複写式の見慣れない契約類式だった。

かりが差し込む窓辺へ移し、スマートフォンの画面の微かなを類に当てる。 番の類の表題を読んだ瞬、私の息が完全に止まった。

【預座振替依頼・自送サービス規申込】

振込元の欄に印字されていた名義。 それは――【吉実 美咲】。 私の名だった。

そして、私の取りパート代と独代の貯が預けられている、私名義の普通預座の番号が、啓介の几帳面な跡で寸分違わず記入されていた。

線をへと滑らせる。 送先の指定座。 番号、座番号の横にかれた名義――【吉実 美】。 そして、振込指定額の欄。

【毎 万千円也】 【送始:令より】 【摘:マイカーローン返済補助】

「……な……に、これ……?」

指先が、ガタガタと激しく震えした。

美が半、見栄を張ってで購入した級ミニバンのマイカーローン。

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