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"「死産」と告げた院長と20年目の出生記録" 第4話

2003の診察で、私の腹に触れた聴診器のぬくもり。

そして、「残でした」と告げた械のようなたい声。

その2つが、私ので未だに癒着してれないでいる。

「ちょっと、しず子さん」

今度は鈴護師だった。

彼女は廊の曲がり角にっていて、片でポケットへ何かをねじ込む仕をしていた。

私はモップをて、背を向けずに彼女と向きった。

「なんでしょうか」

だが、彼女は私の顔を見なかった。

その線は、モップの柄の辺りに落ちていた。

「今はもうね、あなたの掃除する、午で終わりって。医局が使うからって」

私はを見せずに頷いた。

「承しました」

鈴護師は眉根を寄せた。

「承しましたって、本当に分かってるの?い分、く回らなきゃいけないってこと」

彼女はち止まっている私を見て、見すように腕を組んだ。

「ち止まってないで、ちゃっちゃとやってくれないと」

組んだを械のように膝ので揺らし、彼女は私を急かした。

私は黙っていた。

あのの医者と同じように、彼女も私のことを、何か壊れたもののように扱う。

目をわせない。

たい声をぶつけるだけ。

私はくをげた。

「すみません」

彼女はひどく苛った顔をした。

「さっさとやって」

彼女は吐き捨てるように言い、靴音を響かせてっていった。

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私はモップの柄をく握り直した。

乾いた指の腹に、ひび割れたゴムのがい込む。

それから、彼女が消えた曲がり角の向こうに、しばらく目を向けた。

ので呟く。

まだよ、まだ。

私は自分を落ち着かせ、再び歩きした。

3階の湯は、ひどく寒かった。

私はに入り、周囲を見渡した。

窓のサッシに結が滴り落ちている。

シンクの隅に、誰かの忘れていったマグカップが、蓋をしたまま置かれていた。

その陶器の釉薬に、青い井のが鈍く映っている。

私はカップのを排溝に捨てた。

洗剤を含ませたスポンジで、シンクをこすり始める。

ぬるま湯が指先を滑り落ちる。

流しの底から、古い垢の匂いがち昇った。

その匂いがを突いた瞬、記憶が引きずりされた。

20、私の子供が産になった。

あの、私は麻酔のたさので、かすかに泣き声を聞いた気がした。

ただの気のせいだと、そう自分に何百回も言い聞かせた。

気のせいよ、しず子。

あなたはまれてくることも許されなかった子を、あまりにく望みすぎたのだと。

自分を納得させようと必だった。

だが、今ならわかる。

私はスポンジを握るに力を込めた。

あの、私のが捉えた赤ん坊の産声は、気のせいなどではなかった。

この病院の空気のに、まだあの子の声が閉じ込められている。

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それが私を、毎朝この所でモップを握らせるのだ。

私はマスクので、1度だけく目を閉じた。

夜業を過ぎて、静まり返った1階の廊。

私はゆっくりと歩いていた。

モップを壁にてかけるまでの、いのり。

けはなく、防犯カメラの赤い点だけがで規則正しく呼吸している。

「あのさ」

のようない声が、エレベーターホールのから聞こえた。

私はを止めた。

誰かが階段の踊りの角で話している。

聞きをてるつもりなどなかったけれど、は自然に止まっていた。

それは、廊を曲がるたびに私が拾い集めてきた、この所の罪のさをっていたからだ。

「記パーティー、11だっけ?あの、当直代わってくれない?」

「おい、そりゃないぜ。この休み代わってやっただろ」

「てか、若いの使えよ。佐藤さんいるだろ」

「あの1ヶに入った子?わかんないけど」

ややかに笑う、護師たちの声だった。

私は首からげた古びた計を、指先で確かめた。

私の仕事の相棒であり、この20のを測ってきたものだった。

刻は午11を回っていた。

「ていうか、なんであの子うちに来たわけ?わざわざ流れの仕事でうちなんかに」

「さあね。まあ真面目そうではあるけど、やめとけ。ろくなもんじゃないわ」

「ああいうのはどっちかって言うと、昼の清掃でいっぱい。

夜勤は向いてねえよ」

品な笑い声が再び響く。

私はその声の方向へ、ゆっくりと歩きした。

胸が詰まるようだった。

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