みかん小説
本棚

"深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児" 第10話

「母さん」

母は、ひなを見て微笑んだ。

「お腹が空いたら、べられるようにね」

母のい優しさが、そのおにぎりには込められていた。

その、父が玄関の方から庭を回って戻ってきた。

父は、俺に招きをした。

「蒼太、ちょっと来てくれ」

俺は、父に連れられてにた。

俺たちは、そのまま浜辺へと向かって歩いた。

緑荘から歩いて5分ほどの所に、さな砂浜が広がっているのだ。

父は、砂浜を見渡して言った。

「貝殻を拾っていこうとってな。あの子たちのいになるだろう」

俺は、父の提案に賛成した。

「いいね」

俺と父は、砂浜を歩きながら貝殻を探し始めた。

朝の浜辺はもおらず静かで、波の音だけがよく響いている。

父が、貝殻を探しながらにをいた。

「蒼太。あの子たちを助けたいんだな」

俺は、砂浜を見つめたまま頷いた。

「ああ。放っておけないんだ」

父は、し笑って言った。

「おらしいな。消防士を辞めても、を助けたいという気持ちは変わらないんだな」

俺は、を止めて父を見た。

父は、俺の目を見て力く言った。

「父さんも、俺とおのお母さんも、全力で協力する。あの子たちを守ろう」

俺は、胸がくなった。

「ありがとう」

父のその言葉が、にく染み渡った。

父が、元の砂を指差した。

「これなんか、綺麗だぞ」

父が拾いげた貝殻は、とピンクが綺麗に混ざった美しいものだった。

広告

俺は、それを見て嘆した。

「本当だ。ひなちゃん、びそうだな」

俺も、砂浜に目を凝らして貝殻を探した。

丸いもの、細いもの、とりどりの貝殻が砂浜に散らばっている。

その、俺は特別に綺麗な形をした巻き貝を見つけた。

俺は、それを拾いげて自分のに当ててみた。

すると、貝殻のからザザーッというの音が聞こえてきた。

俺は、父にそれを見せた。

「これ、いいな」

父は、満そうに頷いた。

「ああ、それは宝物になるぞ」

俺たちは、拾った貝殻を持って緑荘へと戻った。

リビングでは、りんがひなとメイの荷物をつのバッグにまとめていた。

りんは、俺たちを見て微笑んだ。

「蒼太さん、お帰りなさい」

俺は、に持っていた貝殻をりんに見せた。

「りんさん、これ。俺と父さんで拾った貝殻です」

りんは、貝殻を見て目を輝かせた。

「わあ、綺麗。ひなちゃん、絶対びますよ」

母が、棚からさな布製の巾着袋をして用してくれた。

俺は、その袋のに貝殻をつつ丁寧に入れていった。

母が、その様子を見つめながら言った。

「この貝殻、切にしてくれるといいわね」

やがて、ソファーで待っていた田さんがちがり、声をかけてきた。

「そろそろ、発しましょうか」

ひなは、田さんの声を聞いてし緊張した様子を見せた。

母が、ひなのにしゃがみ込み、おにぎりの包みを差しした。

広告

「ひなちゃん、これ、お腹が空いたらべてね」

ひなは、おにぎりを受け取って聞いた。

「おばちゃんが作ってくれたの?」

母は、優しく頷いた。

「そうよ。ひなちゃんのために、を込めて作ったの」

ひなは、お辞儀をした。

「ありがとう」

次に、俺が貝殻の入った巾着袋をひなに渡した。

「ひなちゃん、これ。さっき浜で拾ってきた貝殻だよ」

ひなは、袋のを覗き込んだ。

「貝殻?」

俺は、袋から巻き貝を取りし、ひなのに当てた。

「に当ててごらん。の音が聞こえるから」

ひなは、自分でも巻き貝をしっかりとに当てた。

その瞬、ひなの目がきく見かれた。

「本当だ。の音がする」

俺は、ひなのを撫でた。

「これを持っていれば、いつでもをいせるよ」

ひなは、巾着袋を両でギュッと握りしめた。

「切にする」

その横で、メイがりんの方に向かってさなを伸ばした。

りんは、涙をこらえながらメイをきつく抱きしめた。

「メイちゃん、また会おうね」

メイは、りんの腕ので「あー、あー」と声をげた。

メイも、りんかられたくないようだった。

だが、無にも別れのが来てしまった。

田さんが、玄関のドアをけた。

「では、きましょうか」

ひなは、俺たち全員の顔を順番に見回した。

「お兄ちゃん、りんちゃん、おばあちゃん、おじいちゃん」

ひなは、々とをげた。

「本当に、ありがとう」

母が、涙声で言った。

「ひなちゃん、いつでも帰ってきていいのよ。ここは、ひなちゃんたちのでもあるんだからね」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: