"夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉" 第15話
私はあらかじめ用してきた言葉を、淡々と、しかし折声を震わせ、涙を滲ませながら語り始めた。
救急隊からの連絡。
夫と義姉の惨状を目の当たりにしたの衝撃。
そして、プロとして必に平静を保ち、職務を全うしようとしたこと。
もちろん、私が画を抜き取りネットに流したことなど、おくびにもさない。
私は、ただの劇のヒロインを演じきる。
私の、健気とも見えるだろう姿に、田院も鈴先も、同と申し訳なさが入り混じった表を浮かべていた。
そのだった。
院のドアが、激しくノックされた。
返事をするもなくガチャリとドアがき、りに顔を歪ませた義母の里子と。
その横に、蛇のようにたい目をした、見るからにそうなスーツを着こなした初老の男がっていた。
秘が制止するのを振り切り、里子が声で叫んだ。
「田院!これは体どういうことですか!説していただきましょう!」
里子に付き添っていた初老の男が、歩にた。
「佐藤里子さんの代理弁護士、と申します」
弁護士は名刺を院の机に叩きつけるように置くと、値踏みするような線で内にいる全員を見渡した。
「当方の依頼、佐藤里子様の息子である拓也様、及び娘である麗子様が、貴院において受けた非扱い」
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弁護士のよく通る、しかしたい声が部の空気を支配する。
「そして、プライバシーを著しく侵害する為について、本正式に抗議に参りました」
里子はそのろで腕を組み、勝ち誇ったような顔で私を睨みつけていた。
弁護士は続ける。
「ネットで拡散されているあの画。あれは貴院の内部のが撮し、流させたとしか考えられません」
彼は机を軽く叩いた。
「これは単なる報漏洩ではない。権侵害であり、貴院のずさんな管理体制を世に問う、な事件です」
田院は青い顔で、ただ「申し訳ありません」と繰り返すばかりだ。
弁護士はさらに畳み掛ける。
「々は流させた犯の特定と懲戒免職。そして、依頼たちが受けた精神、社会損害に対する慰謝料として」
彼は言葉を切り、鋭い線を院に向けた。
「5億円を請求いたします」
「5億……」
田院が素っ頓狂な声をげた。
弁護士は酷に言い放つ。
「いものでしょう。佐藤拓也様は将来を嘱望されたエリートでした。麗子様にも素らしいご縁談がございました」
彼はを鳴らした。
「それが、貴院のせいで全て台無しになったのですから」
里子はその隣で、「その通りですわ!」と叫んでいる。
私はそのやり取りを、ただ黙って聞いていた。
俯き、折肩を震わせ、く傷ついた妻を演じながら。
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すると、弁護士の線がふいに私に向けられた。
「そちらの奥様、佐藤み咲さんでしたかな」
「……はい」
私はか細い声で答える。
「あなたも被害者のお1だ。夫に裏切られたれな妻。世の同はあなたに集まっている」
彼は歩私にづいた。
「だが、1つおかしなことがある」
「おかしなこと、ですか?」
「そうだ」
弁護士は私の目を射抜くように見つめた。
「あの画、なぜ2が分される、最もなシーンが記録されていないのですかね?」
私の臓が瞬だけ、ドクンとねた。
だが、表は変えない。
彼は続ける。
「画は、2が結したまま術に運ばれるところで、自然に終わっている。まるで、そのの結果を図に隠しているかのように」
そのを待っていたかのように、田院が堰を切ったようにをいた。
それは私が鈴先を通して、事に院に報告させておいた報だった。
「そ、それにつきましては、当院でも調査をめておりまして……」
田院は必の形相で、机のに広げられた報告を指した。
「誠に遺憾ながら、昨夜の術記録システムのデータに、原因の具が見つかりまして」
院はや汗をダラダラと流しながら言葉を続ける。
「おそらく落か何かによる瞬な圧異常で……術の最終段階の映像データが、破損していることが確認されたのです」
「なんだと!」
弁護士の鋭い声が響く。
「データが破損しただと?そんな都のいい話があるか!」
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