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"全盲の義母が言い当てた味噌汁の色" 第14話

でも、もう私はあなたの代わりにはならない。お母さんのことが配なら、あなたが仕事を辞めてでも介護すればいいわ。……さようなら」

「待て! 美玲、くな! 俺はどうすればいいんだよ!?」 「らないわ。これからのことは、あなた自で考えなさい」

私は度も振り返ることなく、スーツケースのハンドルを握りしめて夜のへと踏みした。 背で響く夫のけない叫び声は、たい夜のへと掻き消えていった。

それから数週、私は駅のくに当たりの良いさなワンルームアパートを借り、しい活をスタートさせていた。 朝、目覚まし計の音で目を覚ます。 カーテンをけると、柔らかな朝のが部いっぱいに差し込んでいた。 お気に入りのマグカップに淹れたての温かいアールグレイを注ぎ、自分のためだけにパンをトーストし、鮮やかなサラダと目玉焼きをワンプレートに盛り付ける。

テーブルに並べた朝を眺めた瞬、私の目から、ふっと温かい涙が零れ落ちた。 なんて、自由なのだろう。 誰かの顔を伺うためでもなく、誰かに義務として押し付けられたのでもない、ただ自分が「べたい」とうものを、自分のために作るという当たりの常。それが、これほどまでに贅沢でおしいものだとは、の私には像もできなかった。

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そのの午、私は結の法律事務所を訪れていた。 応接で迎えてくれた結に向かって、私は持参した婚届の用を差しした。 「結くん、正式に婚の代理をお願いしたくて来たの。あのの録音データも、レシートも全部持ってきたわ」 結は頼もしい笑みを浮かべ、力く頷いてくれた。 「よく決断したな、美玲。相がどれだけゴネようと、美玲にとって番利な条件で婚と慰謝料を勝ち取ってみせるよ。任せてくれ」

そのの夜、私のスマートフォンに、健太からの着信が入った。 画面にる夫の名を見て、私はさく失笑した。予通りの、泣きつきの話だった。 通話ボタンを押すと、受話器の向こうから、極限まで疲れ果てた健太の掠れ声が漏れ聞こえてきた。

『……美玲、頼むから戻ってきてくれ……!』 「どうしたの?」 『母さんが……もう無理なんだよ! おがいなくなってから、母さんが事の支度から掃除から、全部俺に押し付けてきて……! 会社にも遅刻しそうになるし、のはゴミだらけだし、俺、もうノイローゼで限界なんだよ……!』

自業自得とは、まさにこのことだった。 私が、毎で背負い続けてきた獄のほんの数週をわっただけで、この男は音をげているのだ。 「それで? 私にどうしろって言うの?」 『おが戻ってきてくれれば、元通りになるんだよ! 頼むから戻ってきてくれ!』 「戻らないわ」

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私は徹に、刀両断に切り捨てた。 「あなたが面倒を見るって決めたんでしょう? お母さんの目が見えるなら、自分で事をさせればいいし、無理なら介護サービスを使いなさいよ」 『そんな、どこにあるんだよ!』 「らないわよ。あ、そうそう。今、正式に結弁護士に婚と慰謝料請求の代理を依頼したから。いうちに事務所から内容証が届くとうから、そのつもりでね」 『はあ!? 婚なんて冗談だろ!? 美玲、待ってくれ!』

私は夫のれな叫びを遮り、無言のまま通話を切断した。 そして、その番号を即座に着信拒否に設定したのだった。

結の腕は鮮やかだった。 私が提した義母の自の録音データ、にわたる事労働の搾取の記録、そして量の級デリバリーのレシートというかぬ証拠をに、健太側は完全にぐうの音もなかった。 調と交渉を経て、半には正式に婚が成。私には正当な財産分与に加え、夫の悪の遺棄とモラハラに対する分な額の慰謝料が支払われることとなった。

れて自由のとなった私は、しいを謳していた。 パートのをし増やし、休は学代の友たちとランチにかけたり、きたかった美術館や温泉旅を計画したりする。自分のを、自分の志で自由に使えるということが、これほどまでにを豊かにしてくれるのかと、噛みしめる毎だった。

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