みかん小説
本棚

"妻を追い出した翌朝、7枚のブラックカードが止まった" 第20話

数秒が過ぎ、10秒が過ぎても次の着信が来る気配はなかった。

私がしだけ眉をかしてつぶやく。

「諦めたのでしょうか?それとも充が尽きたか」

はモニターの映像を拡した。

「いいえ。総帥、達也氏はまだスマートフォンを両でく握りしめております」

画面のの彼は、画面をい入るように見つめたまま微だにしていなかった。

なぜ彼が諦めきれず、執拗に着信を繰り返していたのか。

彼にとって私が用した環境こそが世界の全てであり、それ以にきる術をらないからだ。

自分で努力していがる力など最初から持っていないため、誰かの施しにすがりつくしかない。

次に話をかけて繋がらなかったら、自分は完全にひとりぼっちになってしまう。

私は彼の理状態を正確に見透かし、極温の声で指摘した。

「その恐怖が彼からする気力すらも奪いっているのです」

私はややかに見ろす。

「彼は今、暗ので崖の縁にたされ、最の歩を踏みすことを恐れています」

自分が無文であることを完全に認めるのが怖くて、現実から目を背けようとしている。

しかし彼にはもう、戻りするなどどこにも残されてはいないのだ。

「本当に滑稽でれな男ですね」

総帥の計の秒針がむ音だけが静かに響いていた。

広告

彼が自分自の絶望と完全に向きうための、最の沈黙。

私はデスクの子にく腰掛け、そのが来るのを静かに待ち続けた。

そして1分ほどのい沈黙を破り、スマートフォンが再び眩いを放ち始めた。

画面に表示された文字は、違いなく達也からの着信だ。

着信の数字は、これでついに99件目に達した。

モニターのの彼も、まるで祈るように端末を両で包み込み画面を見つめている。

私が静かに告げる。

「とうとう絶望のカウントダウンが完したようですね」

はく礼し、歩ろへがった。

「はい。彼の虚栄はすでに々に砕け散り、言葉を受け入れる準備はっております」

私が万のいを込めて応じる。

「ご苦労様でした、。ここから先は私が彼に最の引導を渡します」

私はゆっくりとを伸ばし、振を続けるスマートフォンをに取った。

画面越しに伝わってくる彼の焦燥と恐怖が、今の私にはよくすらじられる。

昨私に婚届を突きつけたのあの傲で自信に満ちた男は、もういない。

いるのはの恩を失い、社会の最底辺へ転落した1匹の惨めな寄虫だけだ。

私は極温の笑みを浮かべ、画面の通話ボタンを静かに押した。

私がスマートフォンの通話ボタンを押すと、総帥に荒々しい息遣いが響き渡った。

広告

『おい!美桜か!?お今まで何をしてたんだ!』

スピーカー越しに聞こえてきた達也の声は、激しく震えていた。

『俺がどれだけ話したとってるんだ!なんでないんだよ!』

彼は堵とりが入り混じったような声で、方にまくしてた。

へへたり込んでいる分際で、まだ自分の方ががだと信じているのだ。

私が静な声で返答する。

「る必をじなかったからです」

話の向こうで彼が息を呑む音がした。

『ふざけるな!お、俺のに何が起きたかってて言ってるのか!?』

「ええ、もちろんっていますよ」

私はデスクのの型モニターへ線を向けた。

スマートフォンの画面に向かって叫ぶ達也の姿が映っている。

私が淡々と事実を並べる。

「ディーラーで恥をかき、軽井沢の別荘から審者として追いされたこと」

彼の呼吸が自然に止まった。

「会社から代表取締役を解任され、にも見捨てられてに座り込んでいること」

私はややかに言い放つ。

「部始終を私は特等席で拝見させていただきました」

『お、お……なんでそれを……』

彼は混乱したように周囲を見回し、目に見えない恐怖に怯え始めた。

『おがやったのか!?おが裏で何か汚い細をしたんだな!』

やはり彼の貧困な像力では、その程度の結論にしか至らないようだ。

自分がどれほど巨な力によって包囲されているのか、彼はまだ気づいていない。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: