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"四十九日の追放、母の隠し遺言" 第15話

あなた方がで踏み躙っていい所ではありません。……今すぐ、このからてってください」

「す、澄子……!」 がすがりつくように声をげたが、私は線を切揺らさなかった。

「てってください。今すぐにです。度と、この敷にを踏み入れないで」

「ひっ……!」 久代が鳴をげ、ずさりした。 は膝の震えを止められず、ちがることすらできずにいた。

そこへ、縁側から信子さんがドカドカと座敷にがり込んできた。 には、庭の箒が握られている。

「聞こえなかったかい! てけって言われたんだよ! さっさと失せな、この棒夫婦!」 信子さんが箒を振りげると、久代は「きゃああっ!」とを抱えて逃げした。

「お、覚えてろよ……!」 は見苦しい捨て台を吐き捨てようとしたが、達也さんと弁護士がちふさがるのを見て、恐怖に顔を引きつらせた。 はうようにして座敷をり、玄関へと転がるように逃げていった。

バタン! と乱暴に玄関の引き戸が閉まる音。 続いて、いが急発し、タイヤの軋む甲い音を残して、逃げるようにりっていった。 エンジンの音がざかり、やがて町れの雑音のに消えていく。

座敷には、再び静寂が戻っていた。 だが、それはのあの酷な静寂ではなかった。 悪がり、澄み渡ったのが差し込む、穏やかで清らかな静寂だった。

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「……終わったね、澄子ちゃん」 信子さんが箒をろし、優しく声をかけてくれた。

達也さんも、堵の息をく吐きした。 「澄子さん、本当によく頑張ったよ。伯母さんも、きっとんでる」

よしえ叔母さんが、涙を浮かべながら私のを取った。 叔母さんののひらのには、母のあの真鍮の指ぬきが、温かい温もりを帯びて握られていた。

私は母の遺を見げた。 遺のの母は、まるで「よくやったね、澄子」と微笑みかけてくれているようだった。

私の目から、筋の涙が静かに頬を伝い落ちた。 それは、耐え続けてきた痛みが、ようやく温かなへと溶けっていく涙だった。

事件から、数週が過ぎた。 季節は完全にへと移り変わり、実の庭の葉が、鮮やかな赤に染まって落ち葉をらせていた。

と久代のそのの消息は、弁護士を通じて私のに届いていた。 横領した千百万円いは、久代のブランド品の購入や、の怪しげな投資話ですでに半が浪費されており、元にはほとんど残っていなかったという。 括返済などできるはずもなく、は自宅のマンションを任売却し、それでもりない負債を抱えて、郊の古いアパートへと引っ越していった。 の勤務先にも与差し押さえの通が届き、会社でのを失ったは、格処分を受けたそうだ。

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親族たちからも完全に絶縁され、は今、毎の返済に追われながら、互いを罵りって暮らしているという。

だが、そんな彼らの末も、今の私にとってはい世界の来事のようだった。

実の縁側には、あの黒い踏みミシンが、元の所に戻されていた。 庭の砂利から引きげられ、私が丁寧にを落とし、専用の油を差して磨きげたミシンは、初の柔らかな差しを浴びて、鈍いの輝きを取り戻していた。

「澄子ちゃん、お邪魔するよ」

庭の戸がき、信子さんがやってきた。 には、温かい湯気をてるふかし芋の包みが握られている。 続いて、所にむよしえ叔母さんも、達也さんにを引かれながら、穏やかな笑顔で縁側へとがってきた。

「よしえ叔母さん、いらっしゃい。寒かったでしょう」 私が座布団を勧めると、よしえ叔母さんは嬉しそうに目を細めた。 叔母さんのの指には、あの母の真鍮の指ぬきが、誇らしげにはめられていた。

「澄子ちゃん。この指ぬきのおかげでね、最また針仕事が楽しくてねえ。姉さんが隣でを取ってくれているような気がするんだよ」 叔母さんはそう言って、指ぬきをおしそうに撫でた。

「そうかい、そいつは良かった」信子さんが笑いながら、ふかし芋を座卓に広げた。「さあ、澄子ちゃんが作ってくれたいお茶と緒に、お芋をいただこうじゃないか」

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