"義両親をこき使う伯父に、嫁の私が反撃した日" 第4話
「その恩って、具体にいくらですか?」
座敷の喧騒が、嘘のように瞬で掻き消えた。 ビールを注ぎっていた親戚たちのが止まり、仲居さんが息を呑み、名の線が斉に私へと突き刺さる。
義父のがお札を掴んだままピタリと止まり、義母が弾かれたように顔をげた。 座の国男伯父さんは、自分が若い嫁から真っ向から答えされるなどにもっていなかったのだろう。目を点にして私を見ろした、顔を真っ赤にしてでせせら笑った。
「……ああん? どうしてだって? なおちゃん、お、何もらないのか?」 「はい、じげません。何のことでしょうか?」 私は座布団からりることなく、徹な線を真っ直ぐに国男伯父さんの眉に据え置いた。
国男伯父さんはわざとらしく周囲の親戚を見回し、仰に両を広げてみせた。 「決まってるだろうが! こいつら夫婦が番苦しくてどうしようもなかった、俺が助けてやったんだよ! 俺のおかげで、今の隆たちがあるんだ!」
その言葉に、周りの従兄弟たちが「ああ、あの話ね」「昔から聞いてるよ」とさく頷きった。 妻の美代子叔母さんも、鬼の首を取ったように勝ち誇った笑みを浮かべ、を乗りしてきた。 「そうなのよ、なおちゃん。隆さんたち、昔は本当に変だったの。あちらのはね、今でも私たちにきな恩があるのよ。
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親族なら、その恩に報いるのが筋でしょうが! ほら典子さん、突っってないでくお茶のお代わり!」
恩があるから、をく払え。 恩があるから、働きのようにこき使われて当然だ。 その醜悪でグロテスクな論理が、この親族のでは以も「美談」として通用してきたのだ。
私は息をく吸い込み、静かに、だが全員の鼓膜を震わせる瞭な声で問いかけた。
「その昔の恩って、具体にいくらですか?」
「……は?」 国男伯父さんのから、抜けな濁声が漏れた。 美代子叔母さんの扇子を持つが凍りつく。
「今、このお事代を、お義父さんに余分に支払わせる理由が『昔の恩』だとおっしゃるのなら、伺いたいのです。具体に、いつ、何を、どれだけ助けていただいたのですか? 正確な額と、その内訳を教えてください」
「な……っ! お、親戚の者に向かって何ての利き方だ!」 国男伯父さんの血管が額に浮きがる。 美代子叔母さんも甲い声で割って入ってきた。 「失礼よ、なおちゃん! 族の恩を、おの寡で測るなんて品極まりないわ! 気持ちの問題でしょうが!」
「気持ちの問題、ですか」 私はフッとややかに角をげた。 「族の恩はおで測れないとおっしゃるなら――どうして伯父さんたちは、毎回のお事代や駐代という『お』をく払わせる理由に、その恩を都よく使っているんですか?」
座敷が、完全に氷結した。 美代子叔母さんが魚のようにをパクパクと閉させ、国男伯父さんは言葉を失って顔を真っ赤に沸騰させている。 恩はおで測れないと言いながら、恩を理由にをたかる。その決定な論理矛盾を突きつけられ、誰も言も反論できなかったのだ。
「な、なおさん、もういいんだ……!」 耐えかねた義父が、震えるで万円を机のに置き、慌ててちがった。 「兄貴、ここは私が払うから! さあ、みんな、おきにしよう!」 義父の痛な制止により、そのは沼の沈黙のでおきとなった。
だが、私の胸の炎は消えていなかった。 敵が振りかざす『恩』という名の武器。その正体を暴き、砕しなければ、この理尽な鎖は永に義父母を縛り続ける。
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