みかん小説
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"無一文の清掃員に届いた出前丼(" 第25話

最初の数までは、俺も計の針をチラチラと気にしながら、「次のが待っていますから」と話を切りげようと焦っていた。 だが、正午く、採血のを休めて診察を覗きにきた相澤さんが、俺の元でそっと囁いたのだ。 「先、を気にしなくて丈夫ですよ。を見てください」

診察の窓から待を覗くと、予約がまだ以先の患者たちまでが、製の子に腰掛けたり、玄関ののにったりして、互いに世話にを咲かせていた。急かされているような穏な空気は微もなかった。 『みんな、ここで先とお話しできるのを待っているんです』 相澤さんのその言で、俺の胸のから焦燥がスッと消えった。

俺は、の使い方を根本から改めた。 患者がをいて話し始めたら、その言葉が途切れるまで、相槌を打ちながら最の音までじっくりとを傾ける。話が終わってから、ゆっくりと血圧計のスイッチを入れ、聴診器のチェストピースを温めてから胸に当てる。 あたりのが延びれば、その分、の終刻はろにずれ込む。だが、この町の々は、話を端折られて分で追いされることよりも、たとえ待たされても、自分のをすべて吐きせることの方を望んでいたのだ。

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そして、その「無駄にい診察」こそが、わぬ医療の奇跡を繰り寄せることになった。 ある代半の男性の健診でのことだった。 「最、腰が痛くてかなわん」という愚痴をじっくり聞いているうちに、男性がふと、「そういえば先、ここ週ほど、夜になるとふくらはぎが猛烈にこむら返りを起こして目が覚めるんだよ」と漏らしたのだ。 俺のが止まった。 その男性のカルテをめくると、院から処方されている血圧の薬のに、力なサイアザイド系利尿剤が含まれていた。通常の特定健診の採血項目には、解質の測定は含まれていない。 俺はそので相澤さんに指示をし、急遽、保険診療の追加採血として血清カリウム値を測定するスピッツを本追加した。 夕方にがってきた至急検査の結果を見て、俺は汗を流した。 血清カリウム値が、2.4 mEq/Lという危険域まで暴落していたのだ。放置すれば、致性の脈を引き起こして突然していてもおかしくない状態だった。俺はそののうちに患者の自宅へ話をかけ、カリウム製剤の緊急処方と利尿剤の止を配した。 もし、あのを気にして腰痛の愚痴を途で遮っていたら、あのこむら返りの訴えを拾いげることは絶対にできなかったはずだ。

最のの診察と採血が終わり、玄関の鍵を閉めたのは、予定を半以オーバーした午過ぎだった。

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待にいた誰として、待ちのさに文句を言う者はいなかった。 診察の回転子にく体を沈めた瞬、全の筋肉から潮が引くように力が抜け、俺はけなくなった。腰は砕けそうに痛み、声をし続けたせいで喉はガラガラだった。 分の、のみを受け止めた疲労だった。

片付けを終えた相澤さんが、コップにお茶を淹れて診察に入ってきた。 「院先、本当にお疲れ様でした」 「……相澤さんこそ。腕がパンパンでしょう」 相澤さんはフッと目を細め、静かに尋ねてきた。 「先、今、何いらっしゃいましたっけ?」 「……です」 「分の命ですね。……この病院は、今もちゃんときていましたね」 俺は顔をげた。 相澤さんは、いつもの物静かな表のに、かすかな誇らしげな微笑みを浮かべていた。 その顔を見た瞬、俺の目からいものが込みげ、俺は机のに腕を組み、そのに顔を埋めて声を殺して泣いた。 のので、自分が誰かの役にてたのだと、きていて良かったのだと、の底から嬉しくて泣いたのは、それが初めてのことだった。

民健診は、そこから週にわたって続いた。 最終に当院で健診を受けた町民は、ちょうど百に達した。 の百に比べれば百ない数字だったが、医者、護師の限界体制ので、誰として事故を起こすことなく完した百だった。

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