みかん小説
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"無一文の清掃員に届いた出前丼(" 第41話

医者としてできる医療処置は、もう何ひとつ残されていなかった。 だが、そこにただ座り続けることのを、俺はこのの臭い々ので、痛いほど理解していた。 ――医者は偉い仕事じゃない。のの横に、ただ静かに座り続ける仕事だ。

呼吸が止したのは、夕暮れの茜のが障子を染めげた刻だった。 聴診器を当て、音の止を確認し、瞳孔散を確認して静かに刻を告げた。 そして、居の座卓を借りて、俺ので診断をきげた。 病院の見らぬ当直医ではなく、こののの痛みをり尽くしてきた永瀬医院の医師として、その最期の類にサインをらせた。 それこそが、俺がこの町で医療を続けてきたことの、何物にも代えがたい証だった。

葬儀の席で、未となったみつさんが、俺のを両でく握りしめて言った。 「若先……うちのね、この、毎晩のように先の話ばかりしてたんですよ。『若先は頼りないが、そこが番いいんだ。頼りない医者の方が、こっちの話を最まで絶対に聞き届けてくれるからな』って……」 俺は涙を堪え、それを最の褒め言葉として受け取ることにした。 みつさんは今もに度、血圧の薬を取りに来へと通ってきている。あの以来、彼女が血糖発作を起こしたことは度もない。

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「事の量が減ったら、何でもいいから必ず話してくださいね」と俺が毎回うるさくを押すと、彼女は「はいはい、分かってますよ」と笑ってを振るのだ。

町の民健診は、翌以もずっと当院がに引き受け続けている。 隣メディカルガーデンへの括委託案は、町議会で完全に否決された。役の担当者が議会で『うちの町の寄りは、バスに乗ってまで隣町のたい病院へ健診にきはしません。顔の見える永瀬医院があるからこそ、受診率が維持できるのです』と毅然と言い放ったそうだ。 昨度の健診受診者は百名に達し、今は百を超える見込みだと井さんが嬉しそうに帳簿を叩いている。

相澤美穂は、正式に護師となった。 しい名札が支された、俺はそのことについて改まった言葉はかけなかった。相澤さんも何も言わなかった。 ただ、調された名札の端には、あのし褪せた、男の子からもらった黄いのシールが、丁寧に剥がされて貼り直されていた。 彼女は今も、俺のす指示を必ず声にして復唱する。 俺が処方箋をくと、患者に渡すに、必ず彼女の細い指が処方箋の数値をからまでなぞる。 あの、で模造にいた愚直なダブルチェックのルールは、が経過した今も、たりとも破られたことはない。

そのおかげで、当院の調剤過誤はゼロを維持し続けている。

歳になった事務の井さんは、今も元気に卓を叩いている。 数字を語るの厳格な表は昔のままだが、最では来のに、こんな言葉を俺に投げかけてくるようになった。 「院先。こちらの患者様、今から期齢者の負担割が割に引きげられております。処方数をしめにして再診料の負担を抑えるか、湿布薬の枚数をご相談された方がよろしいかとじます」 「井さん、それ、ご本から直接相談されたんですか?」 俺が尋ねると、井さんは鏡の位置を指先で直しながら、真顔で答えるのだ。

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