"父の治療費70万円を拒んだ夫と、葬儀で開いた黒い封筒" 第5話
代わりに握られていたのは、義母の介護に関するたな契約だった。
浩は無慮に病に入ってくると、私にその類を突きした。
「これに署名してくれれば、婚しても母さんの面倒は今まで通り頼める」
浩の態度は、まるで私にお願いをしているようなものではなかった。
事務で、当然の続きをめているような傲な顔をしていた。
私は父のベッドの横に置かれたさな丸子から、ゆっくりとちがった。
「婚、私が義母さんの介護をする契約ですか?」
浩はし肩をすくめた。
「契約というほどげさなものじゃない」
彼は呆れたように言った。
「族としての約束だ」
私は彼の目を見据えた。
「婚するのに、族なの」
浩の眉がわずかにいた。
を表すサインだ。
「美咲、揚げを取るなよ」
私は静かに首を横に振った。
「揚げではありません」
をして類を促す。
「確認です」
私は浩から契約を受け取り、内容に目を落とした。
のには、修の署名と押印がすでになされていた。
内容は事細かに記されている。
義母の通院への付き添い、毎の事の準備、洗濯、夜の見守り。
それだけではない。
さらには、義母の預を私が括して管理し、必な支があるは浩の承認を事に得るとまでかれていた。
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私は契約を裏返し、呆れたように浩を見た。
「この預管理の条項は、誰が決めたのですか?」
浩は平然と答えた。
「母さんだよ」
私はし声を潜めた。
「義母さんが?」
浩はもっともらしい顔を作った。
「そうだ。お母さんは判断力が落ちている」
彼はもっともらしい理由を付け加えた。
「だから、族で管理する必がある」
私は矛盾を突いた。
「それなら、なぜ私が管理して、浩さんが承認するのですか?」
浩はら笑いを浮かべた。
「夫婦だったから、信用できるだろう」
私はややかな声で返した。
「昨、婚しようと言ったをですか?」
浩は顔をしかめ、舌打ちをした。
「まだ根に持っているのか?」
彼は責任を私に押し付けるように言った。
「あれはおが、父親のことになると何でも俺に背負わせようとするからだ」
私ははっきりと反論した。
「私は70万円を1度頼んだだけです」
浩は声を荒げた。
「1度でも同じだ」
私は引きがらなかった。
「加奈さんとの旅には、いくら使う予定でしたか?」
浩の顔から、余裕の笑顔が完全に消えった。
「まだその話をするのか?」
私は静かに見つめ返した。
「額を聞いただけです」
浩は目を逸らし、で言った。
「仕事の張だ」
私は追及のを緩めなかった。
「2分の温泉旅館」
彼の言い逃れを塞ぐ。
「呂付きの部」
歩、彼にづく。
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「これが仕事ですか?」
浩は苛ちを爆発させ、元の契約を病の机に乱暴に叩きつけた。
「おは本当に嫌な女になったな」
その言葉をにした、私は議とが軽くなるのをじた。
むしろすらしていた。
嫌な女でいい。
もうこれ以、彼らにとって都のいい、従順な妻を演じ続ける必はないのだ。
ベッドに横たわる父は、静かに眠っているように見えた。
しかし、目を閉じたままの父の指先が、わずかにいたのを私は見逃さなかった。
私は浩に背を向け、父の点滴の落ち具を確認するふりをした。
私のパジャマの袖には、さな械が隠されている。
袖に挟んだ型録音が、静かに作し続けていた。
昨夜、原田先からかかってきた話の内容をいす。
『会話は、できる限り保してください』
原田先は厳しい調で指示をした。
『特に、お父様の財産や介護について話す内容は、すべてです』
私はその、疑問にって尋ねた。
『父は、浩が相続を狙っているとっていたのでしょうか?』
原田先は静かに答えた。
『っていたというより、調べていました』
そして、いがけない事実をにした。
『野先は、あなたが苦しんでいることをっていました』
私はその言葉に、何も返すことができなかった。
父は、私が必に平気なふりをしていることに、ずっとから気づいていたのだ。
義母の通院の付き添いから疲れ果てて戻り、えた弁当をでべていたことも。
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