"毒蛇から社長を救った男を笑った人事部長" 第27話
夕刻。
私は神グループ総本部の最階へと戻った。
総帥執務には、夕に染まる京の並みが広がっていた。
控えめなノックと共に、美咲社が姿を現した。
そのには、組織の改革報告が切そうに抱えられていた。
美咲社は私のまでみた。
く礼した。
「総帥、おをいただき誠にありがとうございます」
私は穏やかに声をかけた。
「美咲社、どうぞ楽にしてください」
美咲社は机のの子に静かに腰掛けた。
「本は事刷の完と、しい事業計画の捗をご報告に伺いました」
私は報告をめくった。
現の技術者たちのが克に記されていた。
組織が持つべき健やかな命力が溢れていた。
「素らしい成果ですね」
私が微笑んで告げると、美咲社の瞳が緩んだ。
「私が絶望しかけていた、総帥様は度までも命を救ってくださいました」
美咲社は胸元にゆっくりとを伸ばした。
そして、あのチタン製の認識票を切そうに両で取りした。
されたさな属板を、美咲社は机のに静かに置いた。
「2ので命を繋いでいただいたあのから、これは私のの支えでした」
美咲社は私を見つめた。
「ですが、これは本来総帥様が国のために捧げてこられた誇りの証です」
美咲社はくをげた。
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「お返しいたします。今までお守りくださり、ありがとうございました」
々とをげる美咲社を、私は穏やかな差しで見つめ返した。
そして机のの認識票を、指先でそっと押し戻した。
私は言った。
「美咲社、それはあなたが持っていてください」
美咲社が驚いたように顔をげた。
「えっ。よろしいのですか」
私は頷いて言葉を続けた。
「その認識票は、あなたがたった1で背負い抜いた証です」
私は彼女の勇気を称えた。
「2のでも、今回の社内でも、あなたは誠にきることを諦めませんでした」
私はまっすぐに彼女の目を見た。
「その潔な勇気こそが、社員たちの未来を切りいたのです」
私は微笑んだ。
「あなたに持っていていただくことこそ、自官としての私の本望です」
美咲社の頬を筋の清らかな涙が伝った。
「ありがとうございます。の宝として切にいたします」
美咲社は再び認識票を胸元に抱きしめた。
からの笑顔を浮かべた。
美咲社を見送った、私は静まり返った執務で窓のを眺めた。
夕は沈み、には無数のが散りばめられた京の夜景が広がっていた。
私は着の内ポケットから、切に保管してあった1枚のを取りした。
かつて面接のに投げ捨てられ、元で踏みにじられた私の履歴であった。
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折り目のついた面には、防学、京学学部、そして自隊特殊作戦群の文字が並んでいた。
筋肉バカと嘲笑われ、経歴詐称だとされたあの。
あの屈辱の瞬、私は拳を握ることなく耐え忍んだ。
真実の力を持つ者が果たすべき責任を全うするためであった。
腕の袖を引きげると、首のくにはあの字の古傷が刻まれていた。
2、命を削りながら毒を吸いし、誰かの未来を繋いだ証である。
傷跡が消えることはない。
しかしそれは忌むべき傷ではなく、誇りき勲章であった。
世のには自らのさな権力を振りかざし、の努力や命のみを踏みにじる愚か者がいる。
己の浅ましい優越のためだけにを貶め、富を貪る寄虫たちがいる。
しかしどれほど虚勢を張ろうとも、真実の支配者が姿を現した瞬、偽りの力は崩れるのである。
真摯に汗を流し、誰かのために命を燃やすの尊厳は、決して汚されることはない。
私はシワの寄った履歴を、優しく引きしの奥へとしまった。
背筋をまっすぐに伸ばした。
自らの力と誇りを胸に、私はたなのを堂々と歩み続ける。
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