みかん小説
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"出世ゴルフの朝、沈黙した妻" 第11話

律子が力く頷いた。「あなたはもう、自由よ」

真がマンションのエントランスをると、初の青空がどこまでもく、澄み渡っていた。 よいが通り抜け、真の頬を優しく撫でていく。 真はきく胸いっぱいに空気を吸い込んだ。ぶりに、自分の肺が本物の酸素で満たされたような、圧倒な解放が全を駆け巡った。

その、事態はの勢いで収束へと向かった。 タチバナ設は臨取締役会を経て、野俊介の懲戒解雇を正式に発表した。にわたる請法違反および背任の全容が公表され、橘専務は引責辞任。俊介は会社から千万円を超える損害賠償請求訴訟を提起され、同に京検特捜部によって特別背任および私文偽造の容疑で正式に逮捕・起訴された。 義母の澄もまた、真に対する恐未遂罪で類送検され、親族から絶縁されて、病気の夫を抱えたまま、世田の自宅を引き払って方の粗末なアパートへを寄せることとなった。

方、真は原律子弁護士の完璧なサポートのもと、俊介との婚を成させた。 俊介が隠し持っていた私用座の資は会社の被害弁済に充てられたが、真は正当な財産分与と慰謝料、そして何よりき父が遺してくれた切なを、坪たりとも奪われることなく完璧に守り抜いた。

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そして、事件から半が経った。 真は、都内の精密器メーカーの本社ビルにいた。 広々とした事部のオフィス。デスクのには、入社員の研修計画と、来期の労務改善提案が然と積まれている。 神崎からの力な推薦と、かつて培った事・労務の確かな実績が評価され、真はこの会社のコンプライアンス推を兼務する事課として、途採用で迎え入れられていた。

夕暮れ、オフィスの窓から見える京タワーが、温かなオレンジのを灯し始めていた。 真は類の最のページにサインを終え、パソコンをシャットダウンした。 デスクの引きしを閉め、コートを羽織る。 同僚たちと「お疲れ様でした」と笑顔で言葉を交わし、エレベーターに乗り込む。その表には、自らのでを踏みしめ、自らの力で未来を切り拓く者だけが持つ、誇りい輝きが宿っていた。

しく借りた都内のマンションは、向きの窓からよいが差し込む、さくても清潔な部だった。 真はキッチンにち、お気に入りの部鉄器のケトルで湯を沸かした。 丁寧にドリップした珈琲のりが、静かな部を満たしていく。

ダイニングテーブルの片隅には、真が職代から切に使っている、さな目覚まし計が置かれている。

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針は午を指していた。 の朝は、午起。しいプロジェクトのキックオフミーティングが控えている。

真はカップを両で包み込み、温かな珈琲を、ゆっくりとわった。 誰の嫌を窺う必もない。 誰の理尽な声に怯えることもない。 自分のは、すべて自分自のものだ。

真はスマートフォンの画面を伏せ、のアラームを午にセットした。 画面に浮かびがるデジタルの文字を見つめながら、真の元に、ふわりと微かな、しかし絶対に揺らぐことのない美しい笑みがこぼれた。

「起きるだよ」

それは、かつて夫を破滅の淵へと見送った徹な宣告ではない。 自らのしいを、自らの志で歩み始めた自分自に向けられた、誇りく、祝福に満ちた目覚めの言葉だった。

窓のでは、澄み切った夜空に幾千のが瞬いていた。 夜の静寂はもはや真を脅かすではなく、というしいを迎え入れるための、静かで優しい揺り籠だった。

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