みかん小説
本棚

"奪われた手柄と残された受領印" 第23話

俺が休んでも現が止まらない健全な仕組みを、今度は俺自ので作りげていた。

「友さん、の舗訪問のが変更になりました。おの仕込みの都にわせて、遅らせますね」

パソコンから顔をげた俺は、予定表を確認して頷いた。

「わかりました。午はテストデータの理に充てます。凛は、夕方の仕様説まででしたよね?」

「はい。今夜は、プライベートの予定が入っていますから」

「俺もです」

で顔を見わせ、わず笑いった。

同じ夕の約束が、予定表のに当たりのようにき込まれている。

仕事以のあたたかな予定が、俺ののスケジュール帳へと完全に戻ってきていた。

「本さんで買ったあの料理の本、覚えていますか?」

凛が帳を閉じながら尋ねてきた。

「今、あの本のに載っているメニューを作ってみたいんです」

俺は悪戯っぽく笑った。

「難しすぎて、あのそっと閉じたページですか?」

「ちゃんと、番簡単な最初のページからです! 最初から無理はしませんよ」

翌朝、キッチンの柔らかな差しので、凛がフライパンで卵を焼き、俺がトースターでパンを温めた。

彼女がしだけ焦がしてしまったトーストの端っこを、で顔を見わせて笑いながらかじった。

べ終わった器を洗う順番も、週末に買いしへくも、言葉を交わして自然に決めた。

広告

「今は、あの本の続きを読めそうですか?」

コーヒーを淹れながら尋ねる凛に、俺は素直に答えた。

「お腹がいっぱいだから、途で居眠りしてしまうかもしれません」

凛は嬉しそうに微笑んだ。

「では、私も隣で本を読みますね。目が覚めたら、どこまで読んだか教えてください」

誰かの役につための作業をしていない空のにも、当たりのように誰かが隣に寄り添ってくれていた。

俺が何もみしていなくても、俺というそのものを肯定してくれる居所が、確かにここにあった。

あの、理尽に奪われた柄を取り戻すために、俺は過の所へ戻らなかった。

自分の名で責任を持つ、誇らしい仕事を作ることができた。から好きなに、好きだと伝えることができた。休みたいとうには、胸を張って休むと言えるようになった。

玄関へ向かう俺の背に、凛が優しく声をかけてくれた。

「友さん、鍵を忘れていますよ」

駆け寄ってきた彼女から鍵を受け取り、俺は笑った。

「ありがとう。今は定でく帰るよ」

凛も柔らかく目を細めた。

「私も、美しい夕飯を作って待っていますね」

がるには、今でも胸の奥がしだけ痛むことがある。

それでも、もうきりで痛みに耐える必はないのだと、今の俺はっている。

自分を殺してまで、誰かの都のいい所に縋り付くようなき方は、もう度としない。

「ってきます」

「ってらっしゃい」

帰りたいとえる温かな所へ、帰る。そのために、自分のでを向いて働く。俺がしく選び直したは、そんなごく普通の、おしい朝ののから続いている。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: