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"認知症に仕立てた息子夫婦が奪った実印は偽物だった" 第2話

「検査の結果がたらすぐににお連れしますから。数だけここで休んでいてください」

検査の結果とは何の検査のことを言っているのだろう。

はる子は抗議しようとしたが、喉が張り付いて声がなかった。

そこへ別の職員がづいてきて、荷物を運び始めた。見覚えのあるスーツケースだった。からろしたらしい。はる子はそこで初めて気づいた。あの荷物は、いつのに準備されていたのだろう。

「ちょっと、私の荷物を……」

「お母さん、丈夫ですよ。必なものは全部入れてありますから」

さやかの声は優しかったが、無を言わさぬ断固とした響きがあった。

抵抗するもなく、はる子の首にプラスチックの腕輪がつけられた。入館証だということだった。はる子は自分のバッグを固く握りしめた。このに携帯話が入っている。誰かに話をしなければ。しかし、さやかがそのバッグを指差した。

「お母さん、携帯話は私が預かっておきますね。ここで失くしたら変ですから」

「いいえ、私が持っているわ」

はる子の声は震えていた。

さやかは微笑みながら、はる子のから引にバッグを奪い取った。

元から携帯話が消えた瞬、臓が凍りつくようだった。世界から完全に切りされた覚に陥る。

「保護者の方の連絡先は、こちらにかれている番号でよろしいですか?」

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職員が類を再度確認しながら尋ねた。

「はい、そうです」

さやかが事もなげに答える。

「お部は階の〇号です」

職員に促され、はる子はよろめきながら廊を歩いた。

健とさやかが両脇からがっちりと支えている。

エレベーターに乗り、階に着いた。ドアがき、はる子だけがろされた。健とさやかはりようとしない。

「お母さん、すぐに迎えに来ますから」

健はそう言ったが、決して目をわせようとはしなかった。さやかははる子を見て、たい微笑を浮かべた。

「お母さん、今はまずに入ってゆっくり休んでくださいね」

無にもエレベーターのドアが閉まった。

はる子は呆然とち尽くしていたが、職員に腕を取られて部まで案内された。

〇号のドアをけると、そこはさな部だった。ベッドがつとさな窓。それが全てだ。荷物はすでに部のに置かれている。

「ごゆっくりお休みください。何かご用でしたら呼びしボタンを押してくださいね」

職員がてき、ドアが閉まった。はる子は慌てて窓辺へ歩み寄った。には駐が見える。黒いセダンが滑るようにていくのが見えた。健のだ。

はる子は部をびし、エレベーターのまでった。しかしボタンを押してもドアはかない。カードキーが必なのだ。

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ナースステーションのを通り過ぎた。職員が顔をげる。

「おばあちゃん、どちらへ?」

「息子が……息子が私を置いてってしまったの!」

はる子の声はひどく震えていた。

職員は困ったような顔をした。

「保護者の方々はお帰りになりました。またいらっしゃるといますよ」

嘘だった。はる子には分かった。職員の目を見ればすぐに理解できた。くでガチャンというい音が聞こえた。玄関のドアが施錠される音だった。

はる子はそのにち尽くし、必に呼吸をえようとした。しかし、うまく息ができない。

その瞬、はる子は確信した。

私は捨てられたんだ。息子夫婦に。

涙がそうになったが、必に堪えた。

ここで泣いてはいけない。ここで崩れたら終わりだ。

はる子はゆっくりと自分の部に戻った。ドアを閉め、ベッドに腰かけた。

震えるでコートのポケットを探る。財布はあったが、やはり携帯話はなかった。

窓のではがり続いている。いが暗ので静かに積もっていくのを眺めながら、はる子は目を閉じた。そして、再びゆっくりと目をく。泣かないと決めた。その代わりに、考えることにしたのだ。どうやってここからるか。どうやってき延びるか。

はる子の差しが、確かなを帯びて変わった。最初の夜はそうして始まった。

翌朝、廊からアナウンスが流れた。

『皆様、朝のです。

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