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"認知症に仕立てた息子夫婦が奪った実印は偽物だった" 第4話

はる子は薬をに取った。これをめということだろう。

しかし、腑に落ちない。正体の薬をまなければならないなんて。

「でみます。今はお腹がいっぱいですから」

「そうですか。ではに必ずおみくださいね」

職員がてくと、はる子は薬の袋を引きしの奥くに隠した。

むつもりは毛なかった。

夕方、ルームメイトがやってきた。代半ばくらいに見えるおばあさんだった。職員に支えられて、空いていたベッドに横になる。

「こんにちは」

はる子が挨拶をしたが、おばあさんは顔を背けた。

目が赤く腫れている。泣いていたようだった。

「……こんにちは」

震える声でく答えると、再び壁の方を向いて横になってしまった。

夜が更けた。はる子は眠れなかった。隣のベッドからすすり泣く声が聞こえてくる。

「どうして私を捨てたの……どうして……」

おばあさんがさな声で呟いている。枕に顔を埋めて泣いていた。

「昨も息子はそのまま帰ってしまった。戻ってくるって言ったのに、嘘だった」

はる子は静かに目を閉じた。

このおばあさんの話は、自分と全く同じだ。

ここは捨てられた々が集まる所なのだ。

はる子の胸ので、何かがくたい決へと変わっていくのをじた。

りでもしみでもない。ここでき延びなければならないという覚悟だった。

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次のの夕方、さやかが面会に来た。笑顔を浮かべ、フルーツの籠をに持っている。

「お母さん、いかがですか? 元気にされていますか?」

はる子は答えなかった。さやかは子を引き寄せ、じっとはる子の顔を覗き込んだ。

「今の付は分かりますか?」

突然の質問だった。はる子は目をぱちくりとさせた。

「よ。うちの所は京都杉並区……」

はっきりと答えると、さやかの表が微かにこわばった。

「最、通帳の管理は誰がしていますか?」

「私がしているわ」

「実印はどこに置きましたか?」

はる子はを閉ざした。なぜそんなことを矢継ぎに聞くのだろう。

さやかは微笑んだが、その目はひどくたかった。

「お母さん、記憶力は良いのですね」

さやかはちがり、帰り際にナースステーションに寄っていった。

はる子はドアの隙からその様子を息を潜めて窺っていた。

「もし母が攻撃になったり、おかしなをしたりしたら、すぐに記録を残してください」

さやかの徹な声が聞こえた。職員がく頷いている。

はる子はそっとドアを閉めた。全に鳥肌がった。私の言葉つつが記録される。私のつつが監されている。

ベッドに座り、両を固く握りしめた。もう分かった。この所でき延びるためには、まず愚かにならなければならない。

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いふりをしなければならないのだ。はる子の差しが変わった。彼女は静かに戦略をて始めた。

次のの朝だった。

はる子が顔を洗っていると、ベッドのに置いたコートにが触れた。昨夜、寒いからと羽織っていた黒いダウンジャケットだ。何気なく内ポケットにを入れると、何かいものに触れた。きを止め、ゆっくりとそれを取りす。黒いボールペンだった。さはセンチほど。

普通のボールペンのように見えるが、これはただのペンではない。

ヶのことだ。

所の気に寄り、補聴器の池を買いにったのことをいす。なぜか嫁と息子の態度がかられなかった。

奇妙な質問、通帳の話、認症という言葉。何かがおかしいという直があった。だから気の主がペン型の録音を見せた、迷わずそれを買ったのだ。万がのためにと、現千円で支払った。カードを使うと記録が残るからだ。

はる子はののペンを見ろした。

当は漠然としたからのだったが、今やこれがき残るための最の武器となる。

バッテリーはどれくらい残っているかしら。

記憶をたどった。ペンの部を回すと源が入り、横のボタンを押すと録音が始まる仕組みだ。

慎に部を回すと、さなが点滅した。

バッテリーはまだ分に残っている。

素く源を切った。

廊を歩いていると、ナースステーションから声が聞こえてきた。

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