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"認知症に仕立てた息子夫婦が奪った実印は偽物だった" 第6話

つ目は、そのの夜のことだ。

をみに台所へくと、午だというのにリビングの気がついていた。

健とさやかの声が聞こえた。

はる子は音を殺し、廊の角にを隠した。

「母さんに何かあったら俺たち終わりだぞ」

健の声は震えていた。

「分かっているわ。だからくを打たないと」

さやかの声はたく、断固としていた。

「診断さえれば、そこから先は簡単よ」

はる子は息を殺した。臓が激しく音をてる。

「でも、母さんが急にしっかりしたらどうするんだ?」

「そんなことありえないわ。薬をませ続ければいいの。環境が変わればもっと混乱するはずよ。本当に診断さえればそれで終わり。配しないで」

はる子のは完全に凍りついた。

診断、薬、環境。全てが計画だったのだ。

急いで部に戻り、布団をまで被って全を震わせた。

それから週、はる子はわざと何もらないふりをして観察を続けた。さやかの調、健の差し、のの緊張。そして、介護ホームに捨てられるが来たのだ。

入所類は準備され、荷物ももってまとめられていた。全てが用周到だった。

回が終わり、はる子はベッドから体を起こした。

窓のにはが浮かんでいる。今や全てがらかだった。

嫁と息子が望んでいるのは、認症の診断だ。

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診断さえれば成見の申してができる。そうなれば、はる子の財産は自に息子夫婦のに渡る。はる子は唇を噛みしめた。りが込みげてくる。しかしした。ったところでどうにもならない。

「そうよ。あなたが望む老になってあげる」

声はかったが、力かった。

「認症にかかった愚かな老。あなたが望む通りにしてあげる。でも、ただやられるだけの老じゃない。あなたたちが言うこと、つ残らず覚えていてあげる」

はる子はゆっくりと結論に達した。

から、嫁が望む通りに認症にかかったふりをする。そうして油断させ、全ての証拠を集めるのだ。

もはや混乱はなかった。決断したのだ。完璧に演じきると。

翌朝、はる子は病院へく準備を終えた。黒いズボンを穿いている。内側の縫い目には、ペン型録音が確実に隠されていた。で触ってみたが、からは全く分からない。

「はる子様、発のおですよ」

活指導員の泉さんがドアをノックした。

バッグを持って部をると、泉さんが腕を支えてくれた。

「病院へくの、緊張しますよね」

「しだけ……」

はる子がさく答えると、泉さんは優しく微笑んだ。

階へり、施設のい送迎に乗り込んだ。が発し、窓のの景が流れていく。

町の部へ入るにつれての数が増え、分ほどった頃、病院の建物が見えてきた。

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をり、泉さんに支えられながらロビーに入ったそのだった。

「お母さん」

聞き慣れた声がした。振り返ると、嫁のさやかがづいてくるところだった。

化粧が濃く、装もきちんとしている。準備万端で来たのだ。

「ご族の方ですね」と泉さんが尋ねる。

「はい、嫁です。お疲れ様です」

さやかは笑顔で名刺を渡すと、泉さんをくに引き寄せ、はる子に聞こえないように声を潜めた。

しかし、はる子にははっきりと聞こえていた。

「今の診察内容と母の反応、しっかりと記録をお願いします」

泉さんが瞬ためらうと、さやかが再び言った。

「お願いします。事なことですので」

それはお願いではなく、指示だった。

エレベーターで階の神経内科へ向かう。

待で座っていると、さやかがはる子の隣にぴったりと寄り添ってきた。

「お母さん、喉が渇いたでしょう。おをどうぞ」

ペットボトルの蓋をけて渡してくる。はる子はそれを受け取り、んだ。

「検査は難しくないですからね。先が質問されたら、リラックスして答えてくださいね」

声は優しかったが、その目ははる子を酷に観察していた。

「はる子様」

護師に名を呼ばれ、診察に入る。

医師は代の男性で、鏡をかけていた。

「ご族の方ですね」

「はい、嫁です」

さやかは元に類ファイルを持ち、はる子の隣にった。

「患者さんのご様子はいかがですか?」と医師が尋ねる。

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