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"認知症に仕立てた息子夫婦が奪った実印は偽物だった" 第9話

『あと千万円だけ助けてくれたら、本当に全部理できますから!』

しかし、はる子にはもうおがなかった。きっぱりと断ると、の顔から表が消えた。 それから週ほど経った頃からだ。さやかが健康診断を勧め、健が通帳の所をしきりに気にするようになったのは。

全ては借返済のためだったのだ。 認症の診断、成見の申して、財産の理。の取りてが迫っているからこそ、異常なほど急いでいるのだ。

「あのは、全ての準備がったと信じているでしょうね」 はる子はベッドから起きがった。 彼らはつ、決定な勘違いをしている。実印をすでにに入れたとい込んでいることだ。

ヶほど、さやかが「紛失すると変だから」と印鑑を預かろうとした。 そのすでに信を抱いていたはる子は、寝の引きしにあった本物の実印を、古い認印とすり替えておいたのだ。

嫁が持ちったのは偽物だ。本物の実印は、今も自宅の引きしの番、古いハンカチのに包まれている。

翌の午、活指導員の泉さんが部へやって来た。 「おばあちゃん、丈夫ですか? 最とても辛そうに見えます」 はる子が頷くと、泉さんの差しが揺れた。 「のお寄りの方々とは、し違うような気がするんです」

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泉さんはそれ以尋ねなかったが、はる子には分かった。

このは気づいている。 この施設のだけでは限界がある。部の助けが必だ。 はる子のに、幼い頃から緒に育った来の親友、千恵子の顔が浮かんだ。彼女の息子である猛志は警察官をしている。

翌朝、はる子はナースステーションにいた泉さんに声をかけた。

「お願いがあるんです。どうしてもかけなければならない話があって」 泉さんは保護者の同がないと困惑したが、はる子の真剣な目を見て、周囲にの職員がいないことを確認した。

「にお願いします。廊の突き当たりなら静かですから」 泉さんは自分の携帯話を貸してくれた。 はる子は震えるで、何も変わらない千恵子の番号を押した。 呼びし音が鳴り、聞き慣れた声が響く。

「千恵子さん、私よ。はる子よ」 『どこにいるの? 何度もにったのに誰もいなくて』 驚く千恵子の声を聞き、涙が込みげたが必に堪えた。泣いているはない。

「私、介護ホームにいるの。息子と嫁が私を認症に仕てげて、財産を奪おうとしているのよ。にをした借のせいで」 『なんですって……』 「証拠も録音したわ。お願い、猛志さんに連絡して。警察官の猛志さんに」

千恵子は息を呑み、力く答えた。

『すぐに会いにくから。

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しだけ耐えるのよ』 話を切り、泉さんに携帯を返した。

「ありがとう。本当に」 泉さんは何も言わず、ただく頷いてくれた。

次のの午頃だった。 泉さんに促されて非常階段へ向かうと、そこに代半の男性がっていた。 「母から詳しい話は伺っております。猛志と申します」

はる子は階段に腰をろし、これまでの経緯をすべて話した。 ズボンの縫い目からペン型録音を取りし、彼に渡す。 猛志が再ボタンを押すと、さやかの酷な声が流れした。

『見になれさえすれば、通帳は私たちが管理するんだから』 猛志の表が険しくなった。 「この録音、証拠としてお預かりしてもよろしいでしょうか」 はる子が頷くと、猛志はそれを切に内ポケットへしまった。

「いうちに財産の処分を試みるでしょう。ご族がおばあちゃんを連れそうとしたら、すぐに連絡をください」 猛志は泉さんに名刺を渡し、はる子のを温かく握った。

「母がとても配しておりました。必ず助けてあげてくれと」 その言葉に、はる子は堪えきれず涙をこぼした。

「演技は続けてください。絶対に気づかれてはいけません」 猛志はそう言い残し、階段をりてった。

翌の午、嫁のさやかから施設へ話が入った。 たまたまくを通りかかったはる子は、泉さんの言葉にを澄ませた。

「お迎えに来られるのですか? ですね。かしこまりました」

話を切った泉さんは、すぐに猛志の名刺を取りし、連絡を入れた。

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