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"豪邸を奪う義母と一枚の公正証書" 第4話

義母は私の元へ湯呑みを押しし、柔らかな声でをげた。

「ユイさん、こんな頼りない息子だけれど、どうぞよろしく頼みますね。いつでもうちに遊びに来てちょうだい」

「ありがとうございます。至らない点ばかりですが、どうぞよろしくお願いいたします」

胸を撫でろした私の挨拶とともに、義理の実への訪問は驚くほど平穏に幕を閉じた。

それから数、今度は凛太郎が私の祖母のへ挨拶にやってくる番だった。

季の入った畳のに正座した祖母は、凛太郎の礼儀正しい挨拶を聞くや否や、目を指先で押さえて嗚咽を漏らした。

「私がきているうちに、ユイの嫁姿を見られるなんて……こんなに嬉しいことはないよ」

「おばあちゃんたら、気がいよ。泣かないで」

極まって涙を流す祖母の細い背を、私は苦笑しながら優しくさすった。

凛太郎もまた、温な笑顔を浮かべてその景を静かに見守っていた。

だが、畳の片隅で、腕を組んでを投げし、だけ忌々しそうな線を投げかけている物がいた。

妹のメイだった。

メイは派なマニキュアを塗った爪を弄びながら、え切った声で吐き捨てるように言った。

「卒でのくせに、結婚なんてよく恥ずかしげもなくできるよね。お姉ちゃん、本当にがおめでたいんじゃないの?」

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祝いの席にを浴びせかけるような辛辣な言葉に、座の空気が瞬で凍りついた。

祖母が血相を変えてメイを咎めようとし、私もカッとに血がってを乗りしかけた。

「メイ、あんた何を……!」

だが、私の言葉を遮るように、凛太郎が穏やかな仕で私の肩にを置いた。

「まあまあ、ユイちゃん、落ち着いて」

凛太郎はちがり、りの線を送るメイに向かって、しもることなく優しい笑みを投げかけた。

「メイさんは、急にお姉さんを取られるような気がして寂しいんですよね。本当はお姉さんの将来を誰よりも配している優しい妹さんだって、僕にはちゃんと伝わっていますよ」

優しく諭すようなその言葉に、メイは虚を突かれたように唇を噛み、言葉を失った。

気まずそうに顔を背けたメイの頬が、微かに赤らんでいるように見えたが、私はそれを照れ隠しだろうとく気に留めなかった。

凛太郎は再び居まいを正し、祖母とメイに向かってくをげた。

「ユイさんのことは、僕が涯をかけて必ず幸せにします。おばあ様、メイさん、未熟者ですがこれからどうぞよろしくお願いします」

背筋をピンと伸ばし、誠誠の言葉を紡ぐ凛太郎の横顔を見つめ、私は胸の奥底で再び恋の炎が燃え盛るのをじていた。

この誠実なとなら、どんな困難があっても温かな庭を築いていけるに違いない。

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私は希望に満ち溢れた未来を疑うことなく、彼のを取ったのだった。

入籍を済ませた私と凛太郎は、都内のさなアパートでだけのしい婚活をスタートさせた。

この頃の私は、複数のアルバイト活を清算し、ある民企業で正社員としての職を得ていた。

学歴のハンデを埋めるため、独学で必に実務経験を積み、真面目な働きぶりを評価されての採用だった。

しかし、婚活が始まってもなく私の妊娠が判し、体調の悪化もなって、期は現の仕事かられざるを得なくなった。

せっかくに入れたキャリアを放すのは悔しかったが、幸いにも私が就いていた職種は、当広まりつつあった宅勤務での対応が能な業務だった。

私はお腹の子供を気遣いながら、産の直まで自宅のパソコンに向かって仕事を続けた。

無事に元気な女の子を産したは、育児に専し、娘のユアが歳を迎えたタイミングで本格に宅ワークでの業務に復帰した。

そこからは、まさに目が回るような涛の々が始まった。

夜の授乳と夜泣きに追われ、溜まった事を片付け、娘が眠っている隙を縫ってパソコンをき、締め切りに追われる々。

それでも、ににらしい笑顔を見せてくれるユアの成と、夜遅くに帰宅して娘を抱きげる凛太郎の姿があれば、どんな苦労も報われる気がした。

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