みかん小説
本棚

"豪邸を奪う義母と一枚の公正証書" 第8話

「この女性が法侵入を試み、制止した作業員の方を突きばして怪を負わせました」

私が義母を指し示すと、彼女は蒼な顔で両を振り乱した。

「ち、ちょっと軽く触っただけよ! この男が袈裟に転んでみせたのよ! 私のせいじゃないわ!」

「詳しいお話は交番で伺います。同してください」

警察官に腕を取られた義母は、恥も聞もなく私に向かって叫び声をあげた。

「ゆ、ユイさん、助けてよ! 私たち、族でしょう!?」

「だから、半に赤のになったと言ったはずです」

私のえ切った言が響く、義母は喚き散らしながらパトカーの部座席へと押し込められていった。

依頼を失った業者たちは、怪の当を終えた、疲労困憊の様子でトラックの荷台を閉め、会社へと引き返していった。

嵐のような騒がり、それからの約ヶ、がには何事もない平穏な々が戻ってきた。

ユアはしい学に元気に通い始め、私はリビングの窓から庭の々を眺めながら、翻訳の仕事に集した。

このままあの親子との悪縁は断ち切られ、静かに暮らしていけるのだろう。

そうい始めていた矢先のことだった。

激しいインターホンの連打音とともに、玄関の向こうから聞き覚えのある切り声が響き渡った。

「ユイさん! けなさい! にいるのは分かっているのよ!」

広告

臓が嫌なね方をした。

私はくため息をつき、ユアを階の部へがらせてから、チェーンをかけたまま慎にドアをしだけけた。

「……今度は何の用ですか」

玄関先にっていた義母は、ヶよりもやつれ、狂気を孕んだ目で私を睨みつけていた。

「慰謝料の代わりに、このを私に譲り渡しなさい!」

番にびしたあまりの暴論に、私は自分のを疑った。

「慰謝料……? 体何の話ですか。私があなたに慰謝料を支払う理由など微もありません」

「とぼけないでよ! あなたが男と倫して凛太郎を捨てた慰謝料に決まっているでしょう!」

義母は本気でそうい込んでいるらしく、激しい剣幕で扉を揺さぶってきた。

私はこれ以毛な掛け論に付きう気力を失い、度奥の棚へ戻って、保管してあった通の分い公類をに取った。

再び玄関へ戻り、その類の束を義母の先へと差しした。

「これを見てください」

「な、何よこれ……」

義母は怪訝そうに受け取り、表題に並ぶ文字に目を落とした。

その瞬、義母の顔から急速に血の気が引き、持っていた類がガタガタと音をてて震え始めた。

「これ……公正証……? 婚協議の……?」

「ええ。私たちが婚に至った真実の理由が、そこにすべて記載されています」

類には、貞為による婚姻関係の破綻、責配偶者による慰謝料および養育費の支払い義務が、法律の条文に則って徹に刻まれていた。

広告

「凛太郎が……浮気……? そんな馬鹿な……あの子がそんなことするはずないわ!」

義母は呻くように叫びながらページをめくり、そして、貞相の氏名が記された欄で完全に息を呑んだ。

その瞳が、信じられないものを見るように見かれた。

「相が……メイさん……? あ、あなたの妹ですって!?」

絶叫し、崩れ落ちそうになる義母の姿を、私はたい目で見ろしていた。

妹と夫の裏切りをったあの、私の受けた絶望とりは、こんな切れ枚の比ではなかった。

「ええ、その通りです。凛太郎さんは、私の実の妹であるメイと倫関係にありました」

「う、嘘よ……そんなの嘘に決まってる……!」

「お母さんが以アパートに来られた、にメイがいませんでしたか? 掃除や洗濯をして、甲斐甲斐しく凛太郎さんの世話を焼いていませんでしたか?」

私の問いかけに、義母の脳裏を過の記憶が駆け巡ったようだった。

「あ……確かに……でも、あれは姉の留守を預かる妹として伝いに来ているのだと……」

事実の断片が繋がるにつれ、義母の顔は見るも無惨な気へと変わっていった。

義母自、かつて夫の激しい女遊びと浮気に苦しめられ、沼の末に婚した過を持っていた。

だからこそ彼女は浮気という為そのものを理なレベルで忌み嫌っていたのだ。

それなのに、自らので慈しみ育てげた最の息子が、自らの元夫と全く同じ劣な裏切りを働いていた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: