"元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘" 第15話
暴かれた正と特許の壁
「……裏切り者、ですか」
俺の徹な声が、暗い廊に響いた。
「では川部。……これは何ですか?」
タブレットの画面に表示されたのは、ヶの製造部予算会議の社内メールと、川自が子署名した稟議だった。
「『設備メンテナンス費および力コスト削減のため、処理炉の予を縮し、定期正を凍結する』……あなたの独断による決済記録です。これにより、温度管理の精度が狂い、先週の量良品が発した。これが、すべての危の直接の原因です」
川の顔が、気へと変した。
「な……な、何でそれを……」
「さらに、これもご覧になりますか?」
画面をスクロールする。
表示されたのは、良品が発覚したの夕方、川が品質管理部へ送信した極秘メールだった。
『気からのクレームの件、良原因は製造現のオペレーションミス、特に誠の単独の過失として処理すること。異論は認めない』
「付は、原因究がわれるです。あなたは最初から、自らのコスト削減の失敗を隠蔽するため、私を犯に仕てげるつもりだった。違いますか?」
「そ、それは……その……」
川の唇がワナワナと痙攣し、言葉がてこない。
俺は線を、青ざめて震える吉田まみへと向けた。
「そして、吉田さん」
「ヒッ……!」
吉田が鳴をげて退る。
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「あなたが曜の夕方、川部の指示を受けて検査データベースを正にき換えたログです。本来は格判定だった百個以の製品を、あなたのIDで『格』へと改ざんし、気へ荷させた。改ざんと改ざんの数値のログ、すべてここに保してあります」
画面には、吉田の端末からわれたデータ改ざんの々しい履歴が、赤字でくっきりと表示されていた。
「ち、違うんです……! 私は部に『やらないとクビにする』って脅されて……仕方なく……!」
「吉田ッ! 余計なことを喋るなッ!」
醜い責任のなすりつけいを始める司と部。
その浅ましい姿を見ろしながら、俺は最の撃を放った。
「そして、最にもうつ。あなた方に決定な事実をお伝えしておきます」
画面を切り替える。
そこに表示されたのは――特許庁の子公印が押された、特許願受領通だった。
「私が発した、良品率をパーセントからパーセント以に削減する品質管理技術。……すでに私個の名義で、特許願を完しております」
川の目が、これ以ないほど見かれた。
「と……特許だと……!?」
「ええ。業務に、会社の設備を切使わず、自宅で発した個の発です。法権利は完全に私個に帰属します。つまり――瑞穂製作所は、私の許なくこの技術を使用することは切できません。
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もし無断で使用すれば、太陽業の法務部を通じて、特許権侵害で即座に訴訟を起こします」
「ま、待て……! それは会社の業務を通じて得た識だろうが! 会社の権利だ!」
「法に完全に個の権利であることは、弁理士を通じて確認済みです。願類のコピーもここにあります」
川は完全に言葉を失い、喉からヒューヒューと掠れた音を漏らすだけだった。
会社を救う唯の奇跡の技術が、目のにある。
だが、自分たちがその発者を「無能」と切り捨てたせいで、永久にに入れることができなくなったのだ。
その絶望のさは、計りれなかった。
俺はタブレットを脇に抱え、ドアノブにをかけた。
「信頼や敬というものは、々の誠実な仕事の積みねでしか得られないものです。都が悪くなったからといって、辺だけの座つで買い戻せるようなっぽいものじゃありません」
俺はを、絶対零度の瞳で見据えた。
「病で話をした……川部、あなたは私に何と言いましたか? 『好都だ。無能がいなくなってせいせいした。クビにしとくから度と来るな』……そう言い放ちましたね。そして吉田さん、あなたはその話の向こうで、私の事故を声で笑っていた」
の呼吸が止まった。
「あれこそが、あなた方の本であり、私に対する真の評価だった。
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……もう度と、私のに現れないでください」
バタン。
俺は静かに、しかし断固たる力で玄関のドアを閉め、内側からしっかりと鍵をかけた。
扉の向こうから、川の泣き叫ぶような鳴と、吉田のすすり泣く声が微かに聞こえていたが、それもやがてざかり、階段をトボトボとりていくい音へと変わっていった。
部のに、よい静寂が戻ってきた。
俺はく息を吸い込み、窓のを見げた。
の灯りが、まるでしい未来を祝福するように、美しく瞬いていた。
最終話 誇りを胸に歩む
それから数週。
瑞穂製作所では、臨株主総会と緊急役員会がかれ、苛烈な断罪がされた。
松本専務が提したかぬ証拠――川部の独断によるコスト削減指示、図な設定変更、誠への責任転嫁メール、そして吉田まみによる検査データ改ざんのログ――のに、はもはや言の弁もできなかった。
川は部職を解任、役員への昇のは完全に断たれ、懲戒処分として方の赤字子会社の資材倉庫作業員へと遷された。
かつて「卒のやる仕事だ」と見していた油まみれの現作業を、今度は自分自が定までいられることになったのだ。プライドを々に砕かれた男の背は、見るもなくさく丸まっていたという。
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吉田まみもまた、データ改ざんの実犯として社内規定に基づく厳処分を受け、同じく方への異を命じられた。司に媚びを売ることで築いてきた彼女の華やかなオフィス活は、完全に終わりを告げた。
そして、誠という黒柱を失い、特許技術の恩恵も受けられなかった瑞穂製作所は、気と桜商事の顧客を完全に失い、品質の悪評が業界内に広まったことで、急速に経営規模を縮させていった。
かつて学歴至主義に胡座をかき、現の誠実な技術者を踏みにじったツケを、会社全体で支払わされることになったのだ。
方――。
初の澄み切った陽がり注ぐ、太陽業の最鋭マザー。
「リーダー! 規導入した第ラインのリアルタイム補正プログラム、誤差ゼロで定稼働に入りました!」
「テストピースの寸法測定、全数クリアです! 良率、理論値通りの〇・パーセントを記録しました!」
清潔で広々とした発フロアに、部たちの歓の声が響き渡った。
「よし、全員素らしいきだったぞ」
作業着にを包んだ俺――誠は、元のタブレットの波形データを確認しながら、満面の笑みで頷いた。
のギプスは完全にれ、リハビリを終えたは、もう何の痛みもなく力く面を踏みしめていた。
太陽業に移籍してヶ。
俺は技術発部の専任プロジェクトリーダーとして、名の優秀である若技術者たちと共に、自らの特許技術を組み込んだ全くしい製造ラインのちげを完遂させたのだ。
この技術は業界内で凄まじい反響を呼び、太陽業の品質管理レベルを世界トップへと押しげる原力となった。
「さん、本当にお見事でした」
フロアに現れた相沢技術本部が、眩しそうに俺を見つめ、力くを差し伸べてきた。
「あなたの技術と、現に対する誠実なが、が社の歴史を変えてくれました。あなたを迎え入れることができたのは、私の技術者における最の幸運です」
「ありがとうございます、相沢本部。……私を信じてくれた、皆さんのおかげです」
俺は差しされたを、力く握り返した。
そののひらには、確かな温もりと、互いを技術者として尊しう本物の信頼があった。
信頼や敬は、肩きや学歴でに入るものではない。
々の誠実な仕事の積みねと、モノづくりに対する真摯なによってのみ、築きげられるものなのだ。
俺はそれを、自らのをもって証した。
夕暮れ、広なの窓からを見げると、茜に染まる空の向こうに、雄な富士の峰がくっきりと浮かびがっていた。
械の規則正しい駆音が、よいリズムとなってに届く。
俺はやっぱり、この仕事が好きだ。
誰に誇るでもなく、ただ目のの製品と子供たちの未来のために、愚直に汗を流し続ける。
胸に宿る技術者の矜持を誇らしく抱きしめながら、俺は仲たちの待つ発ラインへ向かって、力く確かな歩を踏みした。
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