みかん小説
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"夫が遺した土地と、隣家の3台の車" 第4話

子のために作った坂

のおばあちゃんの名は、ハツさんといった。

柄で、いつも紺のカーディガンを着ていた。

私が洗濯物を干していると、塀越しに声をかけてくれるだった。

「照子さん、今もいい気だねえ」

「そうですね。洗濯物がよく乾きますね」

そんな何でもない会話を、何も交わしていた。

平成18の、ハツさんは腎臓の病気で定期な通院が必になった。

体もり、い距を歩けなくなっていた。

は子を積みやすいきなへ買い替えた。

ところが、の敷は狭かった。

ののも広くない。

を止めることはできても、子の乗りりをするための分な所がなかった。

困ったさんが正夫へ相談した。

「お隣の空きを、病院へくだけし使わせていただけないでしょうか」

正夫は現から帰ってきたばかりだった。

作業着の袖をまくり、庭のでを洗っていた。

「うちの側ですか」

「ええ。子をへ乗せるだけでも」

正夫はしばらく考えた。

そして答えた。

「いいですよ。あそこなら平らですから」

私は隣で聞いていた。

「お父さん、を置いたままにしてもいいの?」

正夫は私を振り返った。

「毎回をかすのも変だろう。しばらく使ってもらえばいいよ」

私はうなずいた。

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が困っているに助けるのは、当たりのことだとっていた。

その週末、正夫は物置からい板を取りした。

私は台所でお茶を入れながら、庭から聞こえるのこぎりの音を聞いていた。

午になってへると、正夫は製のスロープを作っていた。

「何を作ってるの?」

「ハツさんの子用だよ。玄関の段差がしいだろう」

「お隣の?」

「そう」

正夫は板の端を削り、表面を何度も確かめた。

滑らないように、細かな溝も入れていた。

完成したスロープを運ぶ、私は片側を持った。

の玄関で、正夫は子を押して何度も試した。

最初はし傾斜が急だった。

正夫は持ち帰って削り直した。

翌、もう1度試した。

ハツさんは何度もをげた。

「正夫さん、本当にありがとうね」

正夫は照れくさそうに笑った。

「したことしてませんよ」

のには、私が傘を差し、真由美さんが子を押した。

正夫はのドアをきくき、乗りりを伝うこともあった。

あの頃は、隣同士で助けえていた。

やがてハツさんの通院は、週に3回になった。

変な々だったとう。

それでも真由美さんは、私たちへ何度も礼を言った。

「本当に助かるわ。お宅がいなかったら、どうしたらいいか分からなかった」

その言葉に嘘はなかったとう。

さんが借用の便箋を持ってきたのは、を置き始めてし経った頃だった。

「約束だけでは申し訳ないので」

さんは丁寧にをげた。

正夫は笑った。

「そんなもの、いいのに」

「いや、これは私の気持ちです」

正夫は便箋を受け取った。

そして帰宅、類箱へしまった。

「きちんとしただな、さんは」

そう言っていた。

私は机のの便箋を見つめた。

20。

あのがかれた、誰も今のような争いを像していなかった。

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