みかん小説
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"夫が遺した土地と、隣家の3台の車" 第6話

10の帳

正夫は毎、同じ型の帳を使っていた。

黒い表の、さな帳だ。

がった。

仕事の予定。

病院の予約。

買い物を頼まれた品物。

忘れないように、何でもいていた。

私は仏壇の横に置いた帳をいた。

7の欄には、病院の予定と町内会の集まりが記されていた。

その先の8、9。

そして10。

の初めの余に、正夫の字が残っていた。

『さんに空きの話』

そのには、

『物置理』

『畑の』

『玉ねぎの苗』

とあった。

私はい、そのページを見ていた。

「になったら話す」

夫は本当に、そのつもりだったのだ。

私は帳を閉じ、胸に抱えた。

正夫が畑を作りたかったのは、野菜が欲しかったからだけではない。

の仕事を引退してから、にいるが増えた。

「何か作っていないと落ち着かない」

そう言いながら、古い具の入れをしていた。

玉ねぎを植え、に収穫して、私が料理に使う。

そんなさな計画を、楽しみにしていた。

夫はそのを迎えられなかった。

私は庭へた。

隣のミニバンのろに、夫が打った杭がかろうじて見えた。

細い紐はされ、面に落ちていた。

誰がしたのかは分からない。

のし入れの際に引っかかったのかもしれない。

ただ、夫の計画がに押しつぶされているように見えた。

私は杭を拾おうとした。

しかしが邪魔で、が届かなかった。

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その、隣の玄関がいた。

真由美さんだった。

私に気づくと、るく声をかけてきた。

「照子さん、こんなところで何してるの?」

私はちがった。

「主が打った杭を見ていたんです」

真由美さんは面を見た。

「あら、そんなものあったかしら」

私は答えなかった。

彼女はを指差した。

「そうそう。娘の旦がくへ転勤になったから、しばらく緒に暮らすことになったの」

「そうですか」

「も増えるのよ。若いはがないと便だからね」

私は嫌な予がした。

「どこへ止めるんですか」

真由美さんは、当たりのように側のを指した。

「ここよ。し詰めれば3台入るでしょう?」

私はわず言った。

「でも、うちのですよ」

真由美さんは笑った。

「分かってるわよ。正夫さんにはいつもお世話になってたから」

それ以の相談はなかった。

数、3台目のが止まっていた。

私は窓からそのを見た。

黒いミニバン。

きな体。

物置の扉へ続くを、完全に塞いでいた。

正夫がいたら、何と言っただろう。

私は遺を見た。

そして、初めてった。

所付きいを切にすることと、自分のを自由に使わせ続けることは、同じではない。

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