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"夫が遺した土地と、隣家の3台の車" 第12話

隣のご主がらなかったこと

曜の午10、私はのインターホンを押した。

しばらくして、さんがてきた。

「川さん、おはようございます」

私はをげた。

「おはようございます。側のについて、ご夫婦とお話ししたいんですが」

さんはし驚いた顔をした。

「、ですか」

奥から真由美さんが現れた。

「あなた、私が話しておくから」

私は首を振った。

「今はさんにも聞いていただきたいんです」

さんは妻を見た。

そして玄関の脇へ子を持ってきた。

「分かりました。お話を聞きます」

私は鞄から透な袋を取りした。

には、20の便箋のコピーが入っている。

「まず、こちらを見ていただけますか」

さんは受け取った。

鏡をかけ、ゆっくり読んだ。

しばらくして、顔をげた。

「……これは私がいたものですね」

私はうなずいた。

「ハツさんの通院のために、お貸ししたのものです」

さんは便箋へ目を落とした。

「覚えています。正夫さんが、く貸してくださった」

私は続けた。

「その、ハツさんがくなった、真由美さんがご主の帰宅まで使わせてほしいとおっしゃいました」

真由美さんがをいた。

「そんな昔のこと、細かく覚えていないわ」

私は落ち着いて答えた。

「私は覚えています。正夫も隣にいました」

さんが妻へ尋ねた。

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「お、そんな話をしたのか」

真由美さんは線をそらした。

「そのはそう言ったかもしれないけど……」

さんは私へ向き直った。

「私が名古から戻ったも、ずっと使ってよいという話ではなかったんですね」

私はうなずいた。

「はい。なくとも、私はそのような約束をしていません」

さんはく息を吐いた。

「……そうでしたか」

真由美さんは慌てた。

「あなた、でも正夫さんは何もおっしゃらなかったでしょう」

さんは妻を見た。

「おは、ずっと使っていいと言われていると話していたよな」

真由美さんは黙った。

「毎、お礼も渡しているって言っていた」

私は驚いた。

「お礼ですか?」

さんは私を見た。

「何か品物を渡しているものだとっていました」

私は首を振った。

「を貸すことについて、おも品物も受け取っていません」

真由美さんがさく言った。

「ご所なんだから、そんなに堅苦しくしなくてもいいとって……」

さんは便箋を見つめた。

私は続けた。

「実は、先カーポートの業者さんが来られました」

さんが顔をげた。

「業者?」

「3台分の根を作って、うちの物置を撤する予定だと聞きました」

さんの表が変わった。

「物置を撤?」

真由美さんが慌てて言った。

「まだ見積もりを取っただけよ」

さんは妻を見た。

「お隣に確認したのか」

真由美さんは答えなかった。

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私は静かに言った。

「物置は主のものです。これからも使います。それに、も返していただきたいんです」

さんは、すぐには返事をしなかった。

の方へ目を向け、側のを見た。

3台の。

奥の物置。

のに残された狭い通。

それらを確かめた、ゆっくり言った。

「ここまでご迷惑をかけていたんですね」

私は首を振った。

「い、こちらもはっきりお伝えしなかったので」

さんは便箋を私へ返した。

「いや。私が定で戻ったに、ちゃんと確認すべきでした」

真由美さんはさくため息をついた。

「でも、いきなりをどかせって言われても……」

私はノートをいた。

「今すぐに、とは言いません。1031までに移していただきたいんです」

さんは考え込んだ。

「あと3週ほどですね」

「はい」

私は続けた。

「3台ともお願いします」

真由美さんが顔をげた。

「全部?」

私はうなずいた。

「全部です」

さんが静かに答えた。

「分かりました。置き所を探します」

真由美さんは夫を見た。

「あなた、そんな簡単に……」

さんは妻の言葉を遮らなかった。

ただ、ゆっくり説した。

「そもそも、うちのじゃないんだ。正夫さんのごで借りていたんだろう」

真由美さんは黙った。

私は胸がくなった。

20、さんがいた便箋。

そこには、借りているという当たりの事実が記されていた。

その言葉を、さん自がようやくにしてくれた。

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