みかん小説
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"夫が遺した土地と、隣家の3台の車" 第14話

空きに残った轍

10に入ると、隣のがしずつ移し始めた。

最初にていったのは、美咲さんのい軽自だった。

くの極駐を借りたらしい。

次に、黒いミニバンが移した。

美咲さんのご主のだった。

側にあったがなくなると、側のは驚くほど広くじられた。

私は久しぶりに、物置のまでまっすぐ歩けた。

扉をける、へぶつからないように気を遣う必もない。

それだけのことが、こんなにうれしいとはわなかった。

最に残ったのは、の普通だった。

さんが使っているだ。

1028の朝、私は玄関の掃除をしていた。

隣のからエンジン音が聞こえた。

顔をげると、さんがをゆっくりかしていた。

は敷のへて、そのままの庫へ入った。

私はしばらく見ていた。

側のから、が1台もなくなった。

20ぶりの景だった。

私はへた。

砂利のには、い轍が残っていた。

ところどころに雑がえている。

のになっていた部分は、周囲より面が沈んでいた。

それでも、は戻ってきた。

私はゆっくり歩いた。

の横から物置まで、何にも邪魔されずにめる。

奥き17メートルほどの、細い。

正夫が30に買いした所だった。

私は物置の扉をけた。

から、使いかけの材を取りした。

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正夫がに打った杭も、もう1度探した。

杭は面に残っていた。

私はしゃがみ、そっと引き抜いた。

がついていた。

夫が最に考えていた畑の所。

私はその線をいしながら、巻尺を伸ばした。

「お父さん、ここだったよね」

声にすと、し泣きそうになった。

背から声がした。

「照子さん」

振り返ると、真由美さんがっていた。

にはぼうきがあった。

「、全部移しました」

私はをげた。

「確認しました。ありがとうございます」

真由美さんは側のを見た。

「い、お借りしました」

私はうなずいた。

彼女はし迷った、続けた。

「……私、あの、言いすぎました」

私は顔をげた。

真由美さんは物置を見た。

「正夫さんの具なんて、もう使うがいないって」

私は何も言わなかった。

彼女は続けた。

「失礼なことを言いました」

私はゆっくり息を吸った。

「主がくなって、まだが浅かったので、つらかったです」

真由美さんはをげた。

「ごめんなさい」

私はし黙った。

そして答えた。

「分かっていただけたなら、それでいいです」

真由美さんはさくうなずいた。

以のような親しい関係に、すぐ戻れるとはわない。

でも、これ以争いたいわけでもなかった。

さんもてきた。

面の状態を緒に確認し、轍がく残っている部分について、の費用をが負担することになった。

業者にきな事を頼むほどではない。

がく止まっていた範囲の砂利を理し、をならす。

見積もりを取って、必な作業を確認することにした。

私は再びをげた。

「い、ありがとうございました」

さんもをげた。

「こちらこそ、本当にお世話になりました」

そのの午、私は物置のに子をした。

正夫がいつも座っていた、さなの子だ。

私はそこへ腰をろし、戻ってきたを見つめた。

が吹くたび、庭のが揺れた。

何も置かれていない面。

けれど私には、そこに夫の姿が見えるような気がした。

巻尺を持って歩く正夫。

杭を打ちながら笑う正夫。

「には玉ねぎを植えるぞ」と言っていた正夫。

私はそっと目を閉じた。

そして、さく言った。

「お父さん。返してもらったよ」

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