みかん小説
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"夫が遺した土地と、隣家の3台の車" 第17話

玉ねぎの苗を買う

が終わった翌週、私はホームセンターへった。

園芸コーナーには、野菜の苗が並んでいた。

菜。

キャベツ。

ブロッコリー。

そして、玉ねぎ。

私は苗の束を見つけた。

正夫が帳にいていた玉ねぎだ。

私は員さんへ声をかけた。

「すみません。初めて玉ねぎを植えるんですが、どれを買えばいいでしょうか」

員さんは苗を見せながら説してくれた。

植える期。

苗の太さ。

やりのこと。

肥料の使い方。

私はさなノートへき留めた。

正夫がきていたら、きっと自分で調べていただろう。

私は苗を2束買った。

最初から広い畑を作るつもりはなかった。

失敗してもいい。

しずつ覚えればいい。

帰宅、私は作業着に着替えた。

正夫が使っていた靴は、私にはきすぎた。

仕方なく、自分の靴を履いた。

物置からスコップをし、を耕し始めた。

すぐに息ががった。

「これは変だねえ」

わず声にた。

正夫はよく、休に何も庭仕事をしていた。

その姿を見て、私はいつも言っていた。

「そんなに頑張らなくてもいいのに」

今なら分かる。

作りたいものがあると、はついになるのだ。

私はをほぐし、畝を作った。

途で何度も休んだ。

お茶をみ、腰を伸ばした。

空を見げると、がゆっくり流れていた。

午になり、娘の由紀から話があった。

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「お母さん、何してる?」

私は笑った。

「玉ねぎを植えてるよ」

由紀は驚いた。

「もう始めたの?」

「しだけね」

娘は笑った。

「写真送って」

私はスマートフォンで畑を撮った。

まださな畝が2つあるだけだ。

苗も、きれいに並んでいるとは言えない。

それでも由紀は返事をくれた。

『すごいね。お父さんがびそう』

私はその文章を読んで、しばらく空きを見つめた。

正夫が作りたかった畑。

その全部を私が引き継ぐことはできない。

の仕事もできないし、い材を運ぶことも難しい。

でも、玉ねぎを植えることくらいならできる。

私は残りの苗を植えた。

夕方、作業を終える頃、隣の庭から声がした。

「照子さん」

真由美さんだった。

私はちがった。

「こんにちは」

彼女は畑を見た。

「玉ねぎ?」

私はうなずいた。

「ええ。主が植える予定だったので」

真由美さんはしばらく黙った。

そして言った。

「きれいに並んでいるわね」

私は笑った。

「初めてなので、うまく育つか分かりませんけど」

彼女はさくうなずいた。

それ以は何も言わず、へ戻っていった。

以のように、い世話をすることはなかった。

でも、それでいいとった。

必な距がある。

その距を守りながら、挨拶だけはできる。

今の私たちには、それくらいがちょうどよかった。

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