みかん小説
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"夫が遺した土地と、隣家の3台の車" 第18話

返してもらったのはだけではない

翌の。

側の畑には、緑の葉が伸びていた。

の、何度もがりた。

私は配になり、員さんに教わったとおりに様子を見ながら育てた。

枯れてしまった苗もあった。

けれど、くは無事にを越した。

私は毎朝、畑を見にくようになった。

正夫がくなってから、朝が苦になっていた。

隣にいるはずのがいない。

朝の、向かいの子が空いている。

そんな当たりのことが、つらかった。

けれど今は、畑を見るためにへる。

葉の伸び具を確かめる。

の湿り気を見る。

雑を抜く。

そうしているうちに、しずつ活のリズムが戻ってきた。

5のある、私は最初の玉ねぎを収穫した。

から引き抜くと、っていたよりさかった。

私は笑った。

「お父さん、初めてだからね」

を落とし、へ持ち帰った。

台所で玉ねぎを切る。

包丁を入れると、いつものりがした。

私はそのの夕に、玉ねぎのみそ汁を作った。

卓には、正夫の好きだった焼き魚も並べた。

仏壇へさな器を供えた。

「お父さん、できたよ」

私はをわせた。

涙がた。

しいからだけではなかった。

ようやく、約束を果たせた気がしたのだ。

その週末、由紀が遊びに来た。

畑を見るなり、声をげた。

「お母さん、ちゃんと育ったんだね!」

私は笑った。

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「さいけどね」

由紀は玉ねぎをに取った。

「分だよ」

私たちは緒に夕を作った。

玉ねぎを炒め、豚肉とわせた。

由紀は見をして言った。

「おいしい」

私は笑った。

「自分で作ったとうと、余計においしいね」

夕の、娘と縁側へた。

側のには、夕方のが差していた。

物置の扉はきちんと閉まり、そのには何も止まっていない。

私はゆっくり息を吐いた。

「由紀、私ね」

娘が顔を向けた。

「うん?」

「最初は、隣のがなくなれば、それで気持ちが落ち着くとってたの」

由紀は黙って聞いた。

私は続けた。

「でも、が戻ってきても、お父さんが帰ってくるわけじゃないでしょう」

娘は静かにうなずいた。

「うん」

私は畑を見た。

「それでも、ここを使えるようになってよかった」

由紀は尋ねた。

「どうして?」

私はし考えた。

「お父さんが残したものを、私がこれからどう使うか決められるからかな」

娘は微笑んだ。

「そうだね」

私は続けた。

「今までは、お父さんがいないから何もできないとってた。でも、しずつならできるんだね」

由紀は私のを握った。

「お母さん、頑張ったね」

私は首を振った。

「1じゃできなかったよ」

娘。

相談に乗ってくれた弁護士。

話しいに応じたさん。

そして、20の約束をきちんと残していた正夫。

いろいろなのおかげだった。

、私は物置の棚を理し、製のスロープをきれいに拭いた。

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輪の黒い跡は、今も残っている。

私は捨てずに、棚の奥へしまった。

あの板は、正夫の親切の証しだ。

を助けるために作ったものだった。

そのことまで忘れたくはない。

ただ、親切は、相のや暮らしをいつまでも使っていいという約束ではない。

それを、私は今回の来事で学んだ。

夕方、のから真由美さんの声がした。

「照子さん、こんにちは」

私はちがった。

「こんにちは」

彼女は畑を見た。

「玉ねぎ、収穫したのね」

私はうなずいた。

「ええ。さいですけど」

真由美さんはし笑った。

「正夫さん、きっとんでいるわね」

私は答えた。

「そうだといいですね」

それだけの会話だった。

けれど、以のような苦しさはなかった。

真由美さんは自分のへ戻り、私は畑へ戻った。

それぞれの暮らしが、それぞれの所にある。

今は、それで分だった。

私は最に残った玉ねぎを抜いた。

を払い、籠へ入れる。

夕陽が畑を照らしていた。

「お父さん」

私はさく声をかけた。

「今も、植えるからね」

正夫の返事は聞こえない。

けれど、が吹くと、玉ねぎの葉が静かに揺れた。

私たちが買った。

夫が守ってきた。

これから私が暮らしていく所。

ようやく、そのすべてを自分ので歩けるようになった。

(完)

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