みかん小説
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"赤鬼教師が認めた禁断の解答" 第3話

「座れ」

用されていたパイプ子に腰をろす。たいビニールレザーの触が、制のズボン越しに伝わってきた。 鬼塚は机のに置かれていた湯呑みから温かいほうじ茶をすすると、引きしから赤インクの染みたペーパーナイフを取りし、慰みのように弄び始めた。

「用をせ」

蓮はポケットから、つ折りにした答案用を取りし、両で鬼塚のに広げた。蛍灯のいので、あの巨なバツと『像でかない。』の文字が、再び痛々しく浮かびがる。

鬼塚はペーパーナイフの切っ先で、蓮のいた「えっ」の文字をトントンと叩いた。

「藤。貴様は、がの定期テストを舐めているのか。それとも、織田信という歴史の偉に対する侮辱か」

声は静かだった。だが、声を浴びせられるよりも遥かにい威圧がそこにはあった。 蓮は喉仏をさせ、膝ので握りしめた拳に爪をい込ませた。ここで「ふざけました、すみませんでした」とをげれば、言を数分聞かされただけで解放されることは分かっていた。それが、この学で領よくきるための正解だ。

しかし、胸の奥底でくすぶる種が、蓮のを勝にかせた。

「先……僕は、ふざけていたんじゃありません」

鬼塚のが止まった。ペーパーナイフが机のにカタリと置かれる。

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「ほう。ふざけていないと?」

「はい。本気で考えた結果です」 蓮は顔をげ、鬼塚の鋭い線を正面から受け止めた。 「先は授業で仰いましたよね。歴史とは単なる号の暗記ではなく、かつてきていたたちの選択の連続である、と。その言葉を聞いたとき、僕、すごくしたんです」

鬼塚は眉をわずかにかしたが、何も言わずに続きを待った。

「本能寺の変の夜、信は歳でした。毛利攻めの援軍として陣する途で、国方を平定すれば、いよいよ統が現実のものになるという絶頂期です。護の兵は、わずか百らず。所は京都の本能寺。厳な塞でも何でもない、ただの寺です。そんな無防備な所に、最も信頼していた臣の智秀が、万千もの軍を率いて夜襲を仕掛けてきた」

蓮は振りを交えながら、のに浮かびがる景を言葉へと紡ぎしていった。 「秀は、教養もあって実務能力もくて、信が誰よりも頼りにしていた男のはずです。その秀が、触れもなく自分を殺しに来た。午、まだ夜もけきらないので、銃声と号で目を覚ました信が、障子をけてを見た瞬……最初に脳を襲ったのは、戦術な計算でもなければ、諦観でもないはずです。『あり得ない』という純粋な空、理解能な現実に対する拒絶反応だったはずです」

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職員の奥で、誰かがファックスを受信するピーという械音が鳴り響いていた。しかし、蓮のにはもう届いていなかった。

「そのとき、声帯から無識に漏れる最初の音は、言語の形を成していないはずなんです。『えっ』とか『はっ』とか、呼吸が喉で詰まるような音です。そのに状況を把握して、蘭丸に確認して、桔梗の紋を見て、全てを悟ってから放たれたのが『非に及ばず』だったはずです。もし問題が『信が状況を理解したにした決断の言葉を答えよ』なら、僕も迷わず『非に及ばず』ときました。でも、問題は『最初に言った言葉』でした。だから僕は、・織田信がその涯で最も激しく揺した瞬の、最初の呼吸をいたんです」

気にまくしたてた蓮の呼吸が乱れ、肩がした。 職員の乾燥した空気が、喉を突き刺す。やってしまった、と蓮はのどこかで悔した。教諭に対するらかな反論であり、屁理屈の押し付けだ。学にでもなるのではないかという恐怖が、からじわじわと背筋をいがってきた。

鬼塚はパイプ子にく体を預け、井の蛍灯を見げた。 秒、秒。苦しい沈黙がのに横たわる。夕暮れの舎のから、くを促すアナウンスのチャイムが聞こえてきた。

やがて、鬼塚のから、いため息とともに言葉が漏れた。

「……正、未。

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