「想像で書かない。」 日本史の定期テスト、問一の解答欄に巨大な赤バツが下された。織田信長が本能寺で最初に放った言葉を問われ、高校三年の遠藤蓮が書いたのは、たった一言「えっ」。 満点を取る優等生が冷笑する中、職員室へ呼び出したのは、生徒から「赤鬼」と恐れられる厳格な鬼塚教諭だった。四百年前の悲劇を愚弄したとして停学すら覚悟する蓮。だが、無言で答案を睨む鬼塚の瞳に浮かんだのは、怒りではなかった。 赤ペンの先を十点の空欄に向け、鬼教師が低く呟く。 「お前、この言葉の重さを分かっているのか」
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