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"赤鬼教師が認めた禁断の解答" 第7話

彼女は目を細め、逆のにつ蓮の姿を認めると、ふうと胸を撫でろすようにさく息を吐いた。 窓のから差し込むナトリウム灯の黄いが、彼女の切りそろえられた黒髪の毛先を柔らかく縁取っている。

「……遅かったじゃない。完全に油揚げにされて、説教部送りになったのかとったわ」

教の静寂を切り裂く、し尖った、だがどこか堵の滲む声。 蓮は引き戸にをかけたまま、目を丸くしてち尽くした。

「葵……待っててくれたのか?」

葵は途端に居悪そうに眉を寄せ、持っていたスマートフォンを制のポケットに素くねじ込むと、ちがってブレザーの裾の埃をパンパンとで払った。

「べ、別に待ってたわけじゃないわよ。あんたの机のに、ペンケースと消しゴムが放りされたままになってたから。用でしょ。誰かに盗まれたり、掃除のにゴミ箱に落とされたりしたら悪いじゃない」

「ペンケース……?」

蓮が線を自分の席に向けると、確かに使い古された革の箱と、角の丸くなったMONO消しゴム、折れ曲がったシャープペンシルが、机の真んに取り残されていた。 蓮は苦笑いを漏らしながら、教のへとを踏み入れた。かりと灯のが混ざりう教は、昼の騒がしさが嘘のようにえ切っていて、の音だけが静かにを擦った。

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「わざわざそのために、分も待っててくれたのかよ。相変わらず真面目というか、お好しというか……」

「うるさい。ほっといて帰ればよかったわね。……で、どうだったのよ。赤鬼先にどれだけ絞られたの? 反省文? それとも次のテストまで職員で居残り自習?」

葵は腕を組み、探るような線を蓮に向けた。優等の彼女にとって、鬼塚先に個別で呼びされるなどというのは、の終わりにも等しい恐怖であるはずだった。その顔には、蓮をからかうの裏に、本気で配していたような翳りが微かに残っていた。

蓮は自分の机のに腰をろすと、机のに置きりにされていた黒いシャープペンシルと消しゴムをに取った。え切った机の触が、指先から伝わってくる。箱のチャックをけ、つの文具を滑り込ませると、チャリとさな属音が静かな教に響いた。

「いや……めちゃくちゃい授業を受けてきた」

蓮が噛み締めるように呟くと、葵は怪訝そうに眉をひそめた。

「は? 何それ。られすぎてのネジでもんだの?」

「んでないって。本当だよ」 蓮は胸ポケットにを伸ばし、先ほどつ折りにしたあの答案用を取りした。 更の端を指先でつまみ、かりが番よく差し込んでいる葵の机のへと、ゆっくりと広げてみせる。

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暗がりのでも、太い赤インクの巨な「×」と、その横に記された『像でかない。』という文字が、鮮やかに浮かびがった。

葵はを乗りし、その答案をじっと見つめた。 赤ペンの跡には、消しゴムで消された痕跡も、線で訂正された形跡もない。最初の採点のまま、絶対な拒絶としてそこに君臨していた。

「……点数は、ゼロ点のままじゃない。バツも取り消されてないし」 葵は呆れたように肩をすくめ、息を吐いた。 「当然でしょ。いくらあんたが屁理屈をこね回したって、教科と指導領を否定した解答に点をあげられるわけがないわ。鬼塚先がそんな温を見せるはずないもの」

「そう、点数はゼロ点だよ。先も『このバツは絶対に取り消さん』って言ってた」 蓮は窓枠にをかけ、を見げた。 舎の向こう側、群青に染まりきったの夜空には、たく澄んだ々が瞬いていた。オリオンの座がの空から静かに昇り始めている。の灯りはく、の空の平線の彼方――かつて戦国の乱が渦巻いていた、京都の空へと続いているようにえた。

蓮の元に、自然と穏やかな笑みがこぼれた。

「でもな、葵。先は言ってくれたんだよ。おの解答は、信をのとして捉えた証拠だ。その性だけは殺すなって」

葵は驚いたように目を見き、蓮の横顔を見つめた。

「……鬼塚先が、そんなこと言ったの?」

「ああ。歴史っていうのは、ただの暗記ゲームじゃないんだってさ。

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